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ブラジル大統領、オンラインカジノの全面禁止を示唆


ブラジルでは2018年にスポーツベッティング(賭博)が合法化されて以降、オンラインカジノ市場が急速に拡大し、現在では年間40億ドル規模に達する世界有数の市場となっている。
オンラインカジノ(賭博)のイメージ(Getty Images)

ブラジルのルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領は8日、国内で急拡大するオンラインカジノ産業に対し、全面的な禁止の可能性を示唆した。背景には家計債務の増加や社会的影響への懸念があり、ルラ氏はオンラインカジノを「大きなリスク」「有害」と位置づけている。

ブラジルでは2018年にスポーツベッティング(賭博)が合法化されて以降、オンラインカジノ市場が急速に拡大し、現在では年間40億ドル規模に達する世界有数の市場となっている。しかしその一方で、国民の家計への負担が深刻化している。商業・サービス関連団体の統計によると、国内の家庭の80%以上が何らかの負債を抱え、その一因としてスポーツベッティングの普及が指摘されている。

ルラ氏は賭博が市民の生活を圧迫している現状に強い危機感を示し、「有害であるならば終わらせるべきだ」と述べ、規制では不十分な場合には禁止も辞さない構えを見せた。ただし、実際に全面禁止を実施するには議会の承認が必要で、カジノ企業と関係の深い議員も多いとされることから、実現には政治的な障壁が存在する。

政府はこれまで、段階的な規制強化を進めてきた。2024年には無許可のカジノサイトの遮断を開始し、2025年には規制制度を導入した。現在は企業収益に対する課税を強化し、税率を引き上げる方針も検討している。こうした措置は市場の健全化を目的としているが、業界側は過度な課税が国内企業の競争力を損ない、海外サイトの利用を助長する可能性があると反発している。

また、ブラジルではカジノなど多くの形態の賭博が依然として違法である一方、オンラインカジノだけが例外的に認められてきた経緯がある。宗教や市民団体はカジノ産業に批判的で、今回の禁止論にも一定の支持が見込まれる。一方で、サッカークラブの多くがこうした企業のスポンサー収入に依存しており、産業規模の大きさゆえに経済的影響も無視できない。

さらに、著名なサッカー選手らが広告塔として起用されるなど、賭博は大衆文化の一部として浸透している。こうした状況は規制の難しさを示すと同時に、依存症や過剰消費といった社会問題を拡大させる要因ともなっている。

ルラ政権は規制強化と禁止措置の間で対応を模索しているが、家計債務の増加や社会的影響への懸念が強まる中、オンラインカジノを巡る議論は今後さらに激化するとみられる。経済的利益と社会的コストのどちらを優先するのかが政策判断の大きな焦点となっている。

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