ブラジル大統領がトランプ氏と電話会談、貿易と制裁について協議
今回の電話会談は両国の関係改善を示す重要なシグナルと受け止められている。
とブラジルのルラ大統領(ロイター通信).jpg)
ブラジル大統領府は2日、ルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)がトランプ(Donald Trump)米大統領領と約40分間の電話会談を行い、両国間の貿易、経済、制裁問題、さらに組織犯罪に対する協力について協議したと発表した。
それによると、会談ではまず貿易政策が焦点となった。先月、トランプ政権はブラジル産のコーヒーや牛肉、カカオ、果物などへの追加関税(約40%)を解除しており、これについてルラ氏は感謝の意を伝えた。
大統領府によると、ルラ氏は現在も関税が維持されている品目について引き続き交渉を進めたい意向を示したという。
一方、トランプ氏は声明で「制裁についても議論した」と述べた。制裁はブラジルの司法関係者を対象に科していたビザ制限などを指すとみられる。
さらに両首脳は、国際的な組織犯罪、特に麻薬取引やマネーロンダリングを含む犯罪ネットワークへの対処で協力することで合意した。
ブラジル大統領府は米国との協力強化の必要性を強調。特にブラジルの燃料セクターなどで指摘される資金洗浄や犯罪の取り締まりを念頭においていると説明した。
今回の電話会談は両国の関係改善を示す重要なシグナルと受け止められている。トランプ氏は通話後、自身のソーシャルメディアで「新たに形成されたパートナーシップから多くの良いことが生まれる」と投稿し、近く再び会談すると述べた。ブラジル側も「非常に生産的だった」として、今後の対話継続に意欲を示している。
背景には今年7月にトランプ政権がブラジル産品に対し最大50%の関税を含む措置を発動したことがある。ルラ氏は米国による司法への介入を「受け入れられない」と強く反発していた。
会談では制裁の話題も出たが、ブラジル政府は司法の独立性や国内手続きについて妥協する姿勢は示しておらず、協議を通じて関税・貿易面の改善と並行させつつ、主権と法の支配を守るという立場を崩していない。
つまり、今回の通話は「関税撤回」「貿易関係正常化」「犯罪対策協力」という現実的な合意を模索するものであり、両国が慎重に「実利重視」の協力関係を再構築しようとしていることを示す。過去の対立や制裁があったとはいえ、経済的利益や安全保障という共通の課題を通じて、再び外交チャネルを開こうという展望が浮かび上がっている。
ただし、制裁・関税の撤廃交渉や司法の独立性をめぐる根本的な対立は依然として残っている。今後、両国がどこまで歩み寄り、実際の協力をどのように形にしていくか注目される。
