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ブラジル財務相、中央銀行の監督権限を投資ファンドへ拡大することを提案

この提案は政府内で審議中であり、中銀、管理・革新・公共サービス省、および連邦弁務官室(AGU)との協議が進められている。
ブラジルのハダド財務相(ロイター通信)

ブラジルのハダド(Fernando Haddad)財務相は19日、中央銀行の権限を大幅に拡大し、投資ファンドの規制・監督を同国の証券規制当局から中銀に移管する方針を提案した。この提案は政府内で審議中であり、中銀、管理・革新・公共サービス省、および連邦弁務官室(AGU)との協議が進められている。これは、近年投資ファンドを巡る不正疑惑が相次いで表面化していることを背景に、金融監督体制を強化する狙いがあるとみられる。

ブラジル連邦警察は複雑な構造を持つ投資ファンドが関与した不正行為について捜査を進めており、その一環として中銀が昨年11月にバンコ・マスター(Banco Master)を清算した事案が注目されている。不正の疑いは投資ファンドを通じて行われたとされ、これが規制強化議論のきっかけとなった。ハダド氏はこの件が重大であるとしつつも、現時点では「金融システム全体への深刻なリスク」には至っていないとの見解を示している。

これまで投資ファンドの監督は、主に証券市場を監督する証券委員会(CVM)が担当してきた。しかしハダド氏は、「多くの分野が本来は中銀の監督下にあるべきであり、投資ファンドの規制もその一部である」と述べ、中銀への権限移管を強く支持する姿勢を示した。政府内では、規制・監督の一元化によって監督体制の重複や抜け穴を解消し、金融市場の透明性と安定性を高めることが可能になるとの意見が出ている。

提案はまだ初期段階にあり、具体的な法案や実施スケジュールは明らかになっていない。ハダド氏は中銀のガリポロ(Gabriel Galipolo)総裁やAGU、管理・革新・公共サービス省と意見交換を行っていると述べたが、CVM側からの反応はまだ得られていないという。こうした規制変更には連邦議会での承認や法律の改正も必要になる可能性がある。

ハダド氏はまた、金融政策に関しても言及し、インフレ抑制のために設定されている政策金利15%について「利下げの余地がある」と述べた。これは過去20年で最も高い水準にある金利が、インフレの鈍化に伴い引き下げ可能な局面にあるとの認識を示したもので、中銀がインフレと経済成長のバランスをどのように保つかが今後の焦点となる。さらにハダド氏はブラジルが外貨準備を再構築し、多様化を進めていることにも触れた。

今回の提案は、金融監督体制の再編を巡る重要な政策議論の一環であり、投資ファンド市場の透明性向上や不正防止の観点から注目される。関係者は提案が実行されればブラジルの金融規制環境に大きな影響を与え、中銀の役割が従来以上に強化される可能性があると見ている。今後、政府内での具体案作成や議会での審議が進む中で、規制改革の全体像が明らかになる見込みである。

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