ブラジル25年第3四半期GDP成長率+0.1%、予想下回る
セクター別に見ると、ブラジル経済の屋台骨であるサービスと家計消費が弱含みだった。
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ブラジルの2025年第3四半期(7~9月)の経済成長率が想定を下回り、金融市場では来年1月にも中央銀行が政策金利を引き下げるとの観測が強まっている。
統計機関IBGEが4日に公表したデータによると、同四半期のGDPは前期比で僅か0.1%増にとどまり、エコノミストの予測中央値である0.2%を下回った。これは、第2四半期の0.3%増(改定値)から鈍化したもので、第1四半期の1.5%から続いてきた成長ペースの低下を示すものだ。
セクター別に見ると、ブラジル経済の屋台骨であるサービスと家計消費が弱含みだった。サービス部門の伸びは前期比でわずか0.1%、家計消費も同様に0.1%の増加にとどまっており、いずれも近年では最も鈍い伸びとなった。
他方で、鉱工業や農業は比較的堅調だった。鉱工業は0.8%の伸びを記録し、農業も家畜部門やトウモロコシ、小麦、綿花、オレンジといった作物の収量増加に支えられて0.4%増となった。
投資と政府支出もプラス成長となっている。固定資本形成(民間投資など)は前期比0.9%増、政府支出は1.3%増となった。この点は高金利にもかかわらず、一定の投資と公共支出が維持されていることを示している。
とはいえ、全体として見ると、消費とサービスの減速が民間景気を冷え込ませており、勢いの低下は明白だ。年率ベースでは、前年同期比で1.8%増にとどまり、これも近年では低水準となる。
こうした経済状況を受け、金融市場では中銀による政策転換、具体的には「利下げ」に対する期待が高まっている。現在、政策金利は20年あまりで最高水準の15.00%に据え置かれてきたが、今回の成長鈍化はその引き下げを正当化する根拠とみなされている。年明け早々の利下げを見込む声も少なくない。
経済専門家の間では、今回のデータが「ソフトランディング(緩やかな減速)」の可能性を示すものだとの指摘がある。「景気が急激に冷え込むわけではないが、成長のエネルギーは明らかに弱まっている」との声がある一方で、インフレの抑制や労働環境などを考慮すれば、中銀が慎重な姿勢を崩さない可能性もある。
