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ブラジル議会、EU・メルコスール貿易協定を批准

上院は全会一致でこれを承認、下院も先週、賛成多数で可決しており、これによりブラジルの国内手続きが完了した。
ブラジルのルラ大統領(左)と欧州委員会のフォンデアライエン委員長(AP通信)

ブラジルの連邦議会上院は4日、南米南部共同市場(メルコスール)とEUとの自由貿易協定を批准した。上院は全会一致でこれを承認、下院も先週、賛成多数で可決しており、これによりブラジルの国内手続きが完了した。この協定は20年以上にわたる交渉の末に成立したもので、批准はラテンアメリカ最大の経済大国としての役割を示すものとなる。

この通商協定は1999年に交渉が始まり、各国の政治的・経済的利害の調整が難航した末、2026年1月17日にパラグアイで署名された。協定が正式に発効するには、メルコスール加盟国であるブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの各国議会での批准が必要となる。すでにウルグアイとアルゼンチンは批准を完了しており、パラグアイでも近く審議が予定されている。

協定は段階的に双方の関税を撤廃する内容で、対象はメルコスールとEU合わせて7億人以上の市場を形成する巨大な自由貿易圏の創設を目指す。支持者は輸出拡大や投資促進、安定した貿易ルールの確立に寄与すると主張している一方、懸念の声も根強い。特に欧州側では農業セクターや環境保護団体が反対し、政治的な対立を引き起こしてきた。

ブラジルのルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領は批准に際し、協定が経済成長と雇用創出につながるとの見方を示してきた。ブラジル経済は2025年の名目GDPが2.3兆ドルに達する見通しで、EUとの自由貿易協定は同国経済の多角化を進める重要な契機になると期待されている。

一方、協定を巡る課題も残る。EU域内では農産物の競争激化や環境基準の緩和を懸念する声が根強く、欧州議会による承認手続きが続く中で協定発効が遅れる可能性も指摘されている。欧州委員会は批准手続きを進めつつ、暫定適用に向けた方策も模索しているが、加盟各国や議会との調整は容易ではない。

メルコスール側では、各国の経済構造が異なることから、農産業や工業製品の扱いについて意見が分かれる場面もあり、特にパラグアイでは批准手続きが今後の焦点となる。協定が完全に発効するためには、全加盟国の批准が不可欠であり、パラグアイ議会の動向が注目されている。

今回の批准は長年続いた交渉の重要な節目に当たるものの、実際の自由貿易圏の運用開始にはさらなる国内外の政治的承認が必要となる。ブラジルとEUの企業や経済界は、貿易協定の発効が両地域の経済関係を深化させるものと期待しているが、環境保護や労働基準に関する懸念をどう克服するかが今後の鍵となる。

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