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ブラジルと米国、連携して国際犯罪組織に対処、新組織立ち上げ


この枠組みは「MIT(Mutual Interdiction Team/相互阻止チーム)」と呼ばれ、ブラジルの連邦歳入庁(RFB)と米税関・国境警備局(CBP)が中心となって運用される。
ブラジル、リオデジャネイロ警察の特殊部隊(ロイター通信)

ブラジル政府は10日、米国と連携して国際的な組織犯罪に対抗する新たな共同枠組みを発足させたと発表した。両国は情報の統合と共同作戦の強化を通じ、武器や麻薬の密輸など越境犯罪の取り締まりを強化する方針である。

この枠組みは「MIT(Mutual Interdiction Team/相互阻止チーム)」と呼ばれ、ブラジルの連邦歳入庁(RFB)と米税関・国境警備局(CBP)が中心となって運用される。両機関が保有するデータを連携させることで、犯罪ネットワークの動向をリアルタイムで把握し、不正な貨物の流れを事前に察知・阻止することを狙いとする。特に武器や麻薬の違法取引を対象とした情報分析と現場での共同対応が重視されている。

今回の取り組みの背景にはブラジル国内で深刻化する治安問題がある。ブラジル当局によると、過去12カ月間で米国から流入した武器1100点以上を押収し、2026年1~3月期だけでも1.5トンを超える麻薬取引を摘発した。こうした実績は犯罪組織が国境を越えて活動し、国際的な供給網を形成している実態を示している。

ルラ政権は治安対策を重要政策の柱に位置付け、今回の合意もその一環である。特に資金洗浄や密輸といった経済犯罪は複雑化しており、国内の取り締まりだけでは限界があるため、米国との協力強化が不可欠と判断された。ブラジル財務省は両国首脳間の対話が進展したことが今回の合意実現につながったと説明している。

一方で、組織犯罪への対応をめぐっては両国の間に認識の違いも存在する。米国はブラジルの主要犯罪組織をテロ組織に指定するよう求めてきたが、ブラジル側は法的定義の違いを理由にこれを拒否している。ブラジルではテロの定義が政治的・宗教的動機に限定され、一般的な犯罪組織は対象外となるためである。この点は今後の協力の進展における課題とみられている。

また、今回の発表は当初、ルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領とトランプ(Donald Trump)大統領の対面会談に合わせて行われる予定であったが、中東情勢の影響により会談は実現しておらず、具体的な日程も未定となっている。それでも両国は対話を継続し、実務者レベルでの協力を先行させる形で合意に至った。

中南米では近年、麻薬取引や武器密輸、資金洗浄などを担う犯罪組織が国境を越えて拡大し、国家単独での対処が難しくなっている。こうした状況を踏まえ、ブラジルと米国が情報共有と共同作戦を制度化した今回の枠組みは、地域の治安対策における重要な一歩と位置付けられる。今後は実際の摘発件数や犯罪抑止効果といった具体的成果が問われることになり、国際協力の有効性が試される局面に入るといえる。

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