◎ジャイール・ボルソナロ大統領の問題行動を調査している上院委員会は最新の報告書草案の中で、「ボルソナロ大統領は11の罪で起訴されるべき」と推奨した。
2021年10月19日/ブラジル、首都ブラジリアの大統領官邸、ジャイール・ボルソナロ大統領(Eraldo Peres/AP通信)

10月19日、ブラジルの上院議員はジャイール・ボルソナロ大統領を刑事告発する報告書の内容について協議した。

AP通信によると、ボルソナロ大統領の問題行動を調査している上院委員会は最新の報告書草案の中で、「ボルソナロ大統領は11の罪で起訴されるべき」と推奨したという。

上院委員会のメンバーはボルソナロ大統領の影響を受けない議員で構成されている。地元メディアは、委員会の一部の議員がコロナウイルスの感染拡大を放置し国民の命を奪ったボルソナロ大統領に対する「大量虐殺」の告発に反対したと報じた。

調査に直面しているボルソナロ大統領は不正行為を否定し、上院委員会の調査は政治的で公平性に欠けると繰り返し非難している。

一方、ブラジルの医療専門家と評論家たちは、コロナウイルスの危険性を何度も軽視し、ウイルスの感染拡大を抑えるマスクと活動の制限に関する国際的な健康ガイドラインを無視し、根拠を提示することなく怪しげな治療法を推奨し、ワクチンの取引に失敗したボルソナロ大統領を非難した。

上院委員会はボルソナロ大統領に対する怒りと告発を処理するために創設された。

上院委員会の報告書は、起訴するかどうかを決める検察総長の手元に届く前に、上院委員会の投票で承認されなければならない。検察総長は委員会の報告書を精査したうえで、起訴するかどうかを決断する。

ボルソナロ大統領の支持率は低迷しており、報告書が検察総長に届くかどうかにかかわらず、2022年の大統領選挙は厳しい戦いになると予想されている。

2021年6月19日/ブラジル、サンパウロのパウリスタアベニューで開催された反ボルソナロ集会(AP通信/Marcelo Chello)

地元メディアによると、報告書の草案は、「ボルソナロ大統領は多くの医療専門家に反対された大量感染による集団免疫を追及し、国民の命を危険にさらした」と結論付けたという。

ボルソナロ大統領は国内の感染状況がピークに達した際も全国規模の封鎖、社会的距離の確保、そしてマスクの着用に断固反対し、経済活動を停止すれば貧しい人々の生活は破綻すると主張した。

またボルソナロ大統領は、抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンでコロナウイルスを治療できるとしつこく主張したが、世界の科学者はこの主張を却下した。

上院委員会の委員は半年に及んだ調査の中で数万の文書を精査し、政府高官を含む60人以上の証言をまとめた。

一方、委員会によると、ボルソナロ大統領を「先住民族に対する大量虐殺の罪」で調査すべきと主張したカル・ヘイロス上院議員が、委員の結束に深刻な影響を与えたという。

数多くの先住民族が暮らすアマゾナス州はパンデミックの初期に最も影響を受けた地域のひとつであり、これまでに13,000人以上が死亡した。また、その他の州でも貧しい先住民族の村や町で多くの死亡者が確認されている。

委員の一部と専門家は、コロナウイルスの感染拡大と先住民族の大量虐殺を結びつけることは報告書の信頼性を脅かすと警告した。

政治アナリストのカルロス・メロ氏は、「検察総長は報告書を虫眼鏡で隅々までチェックし、小さな矛盾も決して見逃さない」と述べた。「10件の強力な告発があったとしても、1件の矛盾で全てが台無しになる可能性があります。コロナの感染拡大を先住民族の大量虐殺と結びつけることは難しく、ボルソナロ政権は報告書の問題点を厳しく追及するでしょう」

ブラジルのコロナウイルス累計感染者数は10月19日時点で約2,170万件、累計死亡者は先日60万人を超えた。

アフィリエイト広告
スポンサーリンク