ボリビアの反政府デモ激化、死者が出る事態に

デモは南西部のリャジャグアやコチャバンバなどで10日から激化し、エボ・モラレス元大統領の支持者と機動隊が衝突。数十人が負傷した。
2025年6月11日/南米ボリビア、コチャバンバ、警察官とエボ・モラレス元大統領の支持者たち(ロイター通信)

南米ボリビアで反政府デモが激化し、警察官少なくとも3人と消防士1人が死亡した。大統領府が12日、明らかにした。

デモは南西部のリャジャグアやコチャバンバなどで10日から激化し、エボ・モラレス(Evo Morales)元大統領の支持者と機動隊が衝突。数十人が負傷した。

モラレス氏の支持者たちは数日前から全土で高速道路や幹線道路を封鎖し、警察を襲撃している。

憲法裁判所は先月、2期以上の大統領就任を禁じた下級審の判決を支持し、モラレス氏の大統領選出馬を阻止した。

指名手配されているモラレス氏は先週、SNSに声明を投稿し、支持者に街頭デモを呼びかけ、「帝国」の計画を阻止するよう呼びかけた。

2016年に15歳少女との間に子供をもうけたと告発されているモラレス氏は逮捕状を無視して農村部に潜伏中。数千人の支持者が警備しているため、警察も近づくことができずにいる。

デモ隊は農村部で勢いを増し、警察を圧倒。内務省は12日、警察官1人が暴徒に拉致されたと明らかにした。

それによると、暴徒は警察官の体にダイナマイトを巻き付けて起爆、殺害したという。

モラレス氏の支持者たちはアルセ(Luis Arce)大統領が国を破滅させようとしていると主張し、不満を表明するために街頭に繰り出している。

内務省によると、中部コチャバンバ県では爆発物を扱っていた農民が死亡したという。

国営メディアは12日、警察筋の話しとして、「警察官3人と消防士1人、複数のデモ参加者が死亡した」と報じた。

大統領府は声明で、「これは抗議デモではなく、武装した準軍事組織が警察官や救助隊を標的にしている」と非難した。

地元メディアによると、政府は激しい衝突が発生したリャジャグアに陸軍を派遣したという。

モラレス氏は在任中、天然ガスに依存した経済を構築。その後、大統領の任期上限を廃止し、2019年の選挙で4選を決めたものの、紆余曲折の末、辞任。この際、治安当局によるデモ取り締まりで34人が死亡した。

モラレス氏は辞任後、国外に逃亡。2020年に帰国した。

憲法裁は昨年11月、2023年の裁判所命令を再確認し、「大統領は連続であるか否かにかかわらず、2期以上務めることはできず、3選は認められない」と裁定した。

検察は24年12月、モラレス氏の逮捕状を請求。裁判所は1月、出廷を拒否したとして、モラレス氏の逮捕状を発行した。

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