◎前陸軍大将のズニガ氏は6月26日朝、数百人の部隊を率いている首都ラパスの大統領府に押し入り、広場と建物を制圧。アルセ大統領と対峙した。
南米ボリビアのクーデター未遂から1週間。多くの国民が陰謀論と混乱にウンザリしている。
前陸軍大将のズニガ(Juan José Zuñiga)氏は6月26日朝、数百人の部隊を率いている首都ラパスの大統領府に押し入り、広場と建物を制圧。アルセ(Luis Arce)大統領と対峙した。
ズニガ氏はその日のうちに逮捕され、3日後、ラパス郊外の警備厳重な刑務所に送られた。
このクーデター未遂に関与したとして指名手配されている退役兵の男性はAP通信の電話取材に対し、「なぜ自分が指名手配されているのか、全く理解できない」と語った。
それによると、男性は26日早朝、ズニガ氏から電話を受け、収監されている兵士の扱いについて協議する会合が開かれるため、出席するよう要請されたという。
男性が急いで駆け付けると、ズニガ氏から「民主主義を守るために一緒に戦おう」と懇願され、それに同意した同僚に囲まれた。
男性はAPに「誘いを断ったが、その時すでに戦車部隊は兵舎を抜け出し、大統領府に向かっていた」と語った。「私はクーデター未遂に関与したと疑われているようです...」
男性はこの時、多くの国民がアルセ氏の政策、インフレ、ドルや燃料不足に不満を感じていることを理解していたが、クーデターには賛同しなかった。
男性はAPに、「ズニガ氏は軍部内でもアルセ氏に対する不満が高まっていると述べ、政権交代の話しも出ていると言っていた」と語った。
この話しが事実か否かは不明である。
モラレス(Evo Morales)元大統領は先月末、アルセ氏本人が支持率を上げるためにクーデターを「自演」したと主張したが、その証拠は示さなかった。
ボリビアは1825年の独立以来、200回近くクーデター(未遂含む)を経験してきた。
ラパス中心部で3日に行われた抗議デモには約100人が参加。「アルセと陸軍高官を逮捕しろ」とシュプレヒコールを上げた。
デモに参加した男性は地元テレビ局の取材に対し、「偽情報、陰謀論、噂、よくわからない報道にウンザリしており、この際全員まとめて逮捕して総選挙を行ってほしい」と語った。