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ボリビア「燃料補助金」廃止へ、パス大統領が発表

ボリビアでは2006年以降、左派政権の政策に基づき、燃料価格が固定されてきた。
ボリビア、首都ラパスのガソリンスタンド(Getty Images)

ボリビアのパス(Rodrigo Paz)大統領は17日、長年続けてき燃料補助金を撤廃すると発表し、財政健全化に向けた取り組みを開始した。パス氏は先月就任したばかりで、燃料補助金の廃止は国内経済の立て直しに向けた重要な一歩と位置づけられている。

パス氏はテレビ演説で「燃料補助金の廃止は秩序と正義のもと、真に透明な再配分を目指す取り組みのひとつである」と述べ、撤廃の意義を強調した。ただし、詳細は明らかになっておらず、農業や企業への影響が懸念されている。

ボリビアでは2006年以降、左派政権の政策に基づき、燃料価格が固定されてきた。このため軽油やガソリンは国際市場価格を大幅に下回る価格で販売されてきた。

しかし、補助金制度は国家財政に重い負担を強いてきた。パス政権はその負担を軽減し、財政赤字の是正を図る必要性を訴えている。

具体的には、これまで1リットルあたり3.72ボリビアーノ(約84円)で販売されていた軽油が9.80ボリビアーノ(約221円)に引き上げられ、ガソリンも3.74ボリビアーノから6.96ボリビアーノに値上げされる。これら新価格は少なくとも6か月間は固定される予定だが、その後の調整も排除されていない。

パス氏はまた、国営石油会社YPFBが燃料の確保で困難に直面していることを踏まえ、軽油の直接輸入を認める方針も示した。これにより、供給不足の緩和を図る構えだ。

燃料補助金の撤廃はボリビア経済にとって大きな転換点となる可能性がある。国内では補助金が長年にわたり庶民の生活コストを抑える役割を果たしてきただけに、価格の急激な上昇が国民生活や物流、農業など幅広い分野に影響を与えるとの懸念も根強い。特に地方の農業部門や中小企業にとって、燃料費の高騰は経営負担を一段と強める要因となる。

専門家らは、補助金撤廃と並行して社会的弱者への支援策や新たな税制措置の導入が不可欠だと指摘する。パス政権は国会で支持を得ることが財政再建の成否を左右するとしており、今後数カ月の政治的駆け引きが注目される。

国内では燃料価格の大幅な引き上げに対する反発や抗議デモの可能性も懸念されており、政府は国民の理解を得ながら政策を進める必要に迫られている。

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