ボリビア政府、衛星通信事業者に対する規制を解除、速度向上へ
この大統領令は前左派政権が設けた国際衛星通信企業への制限を撤廃する内容である。
.jpg)
ボリビア政府は23日、衛星インターネット企業に対する規制を撤廃する大統領令を発出し、米スペースXの「スターリンク」やアマゾン傘下の「クーパー」などの国際的な衛星通信サービスの国内提供を可能にしたと発表した。これによりインターネット環境の改善を図る。先月就任したパス(Rodrigo Paz)大統領はこの措置について、「デジタル格差を縮小し、高品質な通信アクセスを国民に保証するための重要な一歩」と説明した。
この大統領令は前左派政権が設けた国際衛星通信企業への制限を撤廃する内容である。アルセ前政権は昨年、データ保護や主権の問題を理由にスペースXのライセンス取得を拒否していた。
ボリビアはこれまで、中国から購入した静止衛星を利用して遠隔地でのインターネットアクセス改善を試みてきた。この衛星は地球から約3万5000キロメートル離れた静止軌道に位置しているが、携帯電話や家庭用インターネットの速度向上には十分な効果を上げられなかった。
これに対してスターリンクやクーパーが用いる低軌道衛星は地上約550キロメートルの高度を周回し、データ伝送の遅延が少なく高速通信が可能とされる。通信速度に関する調査会社が11月に発表した報告書では、ボリビアは南米で携帯電話および固定ブロードバンドのインターネット速度が最も遅い国と評価されている。ブラジルが地域内で最高の速度を示した。
パス氏は衛星インターネットの提供許可を通じて地方や山間部の住民も含めた全国的なインターネットアクセスの向上を目指すとしている。また、テスラやアマゾン、テザー、オラクルなどの国際企業がデータセンターを設置する計画があると明らかにした。こうした投資はボリビア経済の活性化にも寄与する見込みだ。
ボリビアでは深刻な米ドル不足が経済の制約要因となっており、パス政権は燃料補助金の廃止など財政健全化策を進めている。この燃料補助金廃止は労働組合を中心とした抗議デモを引き起こした。
政権の発足から間もない今回の衛星通信の規制解除はボリビアの通信インフラを強化し、国際的なテクノロジー企業との連携を深める狙いがある。今後はこれらの企業のサービス開始時期や具体的な導入計画が焦点となるだろう。
