アズール・ブラジル航空、債務再編計画で米裁判所の承認得る
この承認により、アズールは総額20億ドル超の負債削減と新株引受権を通じた資金調達を進めることが可能となり、米大手アメリカン航空とユナイテッド航空が最大3億ドルを出資する見通しとなった。
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ブラジルの航空会社アズール・ブラジル航空は12日、米国の連邦裁判所が同社の債務再編計画を承認したと発表した。この承認により、アズールは総額20億ドル超の負債削減と新株引受権を通じた資金調達を進めることが可能となり、米大手アメリカン航空とユナイテッド航空が最大3億ドルを出資する見通しとなった。
アズールは今年5月、燃料価格の変動や通貨相場の影響、サプライチェーンの混乱などによる財務的な圧力を背景に、ニューヨーク州の裁判所に連邦破産法11条手続きを申請していた。今回承認された再編計画では、大部分の債務が株式に転換されるとともに、新たな株式の発行によって資本を強化する仕組みが盛り込まれている。
判事はニューヨーク州での審理でこの計画を認めた。アズールのCEOはロイター通信の取材に対し、債務の多くが株式に転換されることでバランスシートが軽くなり、財務基盤が大きく改善されると説明。また同社は2026年2月までに破産手続きを正式に終了させる見込みだと明らかにした。
出資については、アメリカン航空とユナイテッド航空がそれぞれ一定額を拠出することで合意しており、これにより両社はアズールの株式を取得する見込みだ。新たな資本参加により、アズールは財務の安定化を図るだけでなく、両社との協力関係を強化することも期待されている。
今回の債務再編計画はアズールがパンデミック以降続くラテンアメリカ航空業界の逆風を受けて講じた重要な戦略となる。コロナ禍以降、同社は多くの負債を抱え、他の地域主要航空会社と同様に再編手続きを進めてきた。特に燃料コストの高騰やブラジル通貨レアルの変動が収益に大きな影響を与えたとみられる。
再編計画では債務の約60%が削減され、年利支出が約2億ドル減少する見込みだ。また、航空機のリース義務負担も約28%軽減される。これらの財務改善策によりアズールは同業他社と競争しつつ、事業継続性を確保する方針だ。
アズールは当初、ゴル航空との合併を模索していたが、交渉は9月に終了し、その後は単独での再建計画に軸足を移していた。CEOは合併に代わる独自戦略に集中し、顧客サービスの向上と財務健全化を最優先に取り組む考えを示している。
アズールは2008年に設立され、ブラジル国内で南米最大手のゴルやラタムと並ぶ主要航空会社として成長してきた。今回の再編承認と資本強化により、同社は新たな経営基盤を築き、将来的な成長へ向けて再スタートを切る見込みだ。
