仏アトス、ラテンアメリカ事業をブラジル・セマンティクスに売却へ
この売却は同社が進める大規模な再構築計画の一環であり、経営基盤の立て直しを目指す取り組みの中心となっている。
のロゴ(ロイター通信).jpg)
フランスの大手IT企業アトス(Atos)は12月26日、ラテンアメリカ事業をブラジルのテクノロジー企業セマンティクス(Semantix)に売却する契約に調印したと発表した。この売却は同社が進める大規模な再構築計画の一環であり、経営基盤の立て直しを目指す取り組みの中心となっている。
売却対象となる事業はブラジル、アルゼンチン、チリ、コロンビア、ペルー、ウルグアイの6か国で展開されており、合計で約2800人の従業員が対象となる。取引の財務条件や売却額は公表されていないが、アトスは今後数か月以内に売却を完了させる見込みとしている。
アトスはかつて欧州のテクノロジー分野で有力企業の一角を占めていたが、2024年に深刻な財務危機に直面し、経営が危ぶまれる状況に陥った。その後、2025年前半に包括的な財務再建を実施し、 21億ユーロに及ぶ債務を削減した。債務削減の結果、銀行や債券保有者が主要株主の地位を占めており、社の再建計画は資産売却を重視した戦略となっている。ラテンアメリカ事業の売却もこの戦略の一部である。
セマンティクスはブラジルを本拠とする技術企業で、データおよび人工知能(AI)に関連するサービスを提供している。同社は今回の買収によって南米でのプレゼンスを拡大し、AI・データ関連のサービスプロバイダーとしての地位を強化する狙いを示している。買収が完了すれば、セマンティクスは地域のIT市場で最大級の企業の一つとなる可能性がある。
取引の条件として、アトス南米部門の責任者がセマンティクスのCEOに就任する予定である。一方、セマンティクスの創業者で現CEOはエグゼクティブチェアマン(会長)として中長期的な戦略と革新に注力する役割となる見通しだ。
関係者によると、今回の売却は単なる資産譲渡にとどまらず、両社の技術力や顧客基盤を統合し、新たな成長機会を創出する契機と位置づけられている。特にデータ、AI、クラウドなどの分野における業務範囲の拡大や多様な産業セクターへの展開が期待されている。
アトスは2024年の財務危機以降、欧州や北米などのコア市場に資源を集中する方針を強めており、非中核事業の売却を進めることで収益性の改善を図っている。ラテンアメリカ事業の譲渡はその象徴的な案件となるだろう。
