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ベネズエラ復興なるか、崩壊する経済に苦しむ一般市民

トランプ氏はホワイトハウスなどで、かつて豊富な石油資源を背景に繁栄したベネズエラを「新たな繁栄期」に導くとの構想を打ち出した。
2026年1月9日/ベネズエラ、首都カラカスの市場(AP通信)

トランプ(Donald Trump)米大統領はベネズエラ経済の再生を目指し、インフラ整備や石油産業の復活に数十億ドル規模の投資を行う考えを示している。トランプ氏はホワイトハウスなどで、かつて豊富な石油資源を背景に繁栄したベネズエラを「新たな繁栄期」に導くとの構想を打ち出した。一部では米国が石油収益の一部をベネズエラ国民へ再分配する方針も示唆されているが、現地住民の生活は依然として深刻な状態にある。

首都カラカスの路上市場では、公務員として働く女性がスープ一杯の材料すら満足に買えない現実を嘆く。野菜や肉などの食料品は急騰する物価によって一般市民の手の届かない価格になり、肉1キロが10ドルを超えることもある。これは月額最低賃金の25倍にも相当するという。住民の多くは、2~3の仕事を掛け持ちして日々の糧を得る必要があるが、冷蔵庫の中は空に近い状態が続いている。

現実の経済環境は、人口の約8割が極度の貧困状態にあり、800万人が国外へ脱出した背景にも反映されている。子供たちは空腹を避けるため早めに就寝し、親たちは処方薬を買うか食料を買うか選択を迫られることが日常となっている。通貨ボリバルは急速に価値を失い、米ドルとの為替差が広がる中、物価上昇と通貨切り下げの悪循環が続いている。

市場でタバコを売る女性は赤ん坊を抱えながら日々の値動きを見極めつつ商品価格を調整している。「インフレ、インフレ、そして通貨切り下げだ」と女性は語る。多くの住民は生活の困難さを指して「resolver(乗り切る)」という言葉を用い、日々の暮らしをやり過ごしている。

トランプ政権はベネズエラの石油産業への米国企業の参入や技術支援を重視し、この分野の回復が国全体の経済改善につながるとの見方を示している。しかし、経済専門家は原油産業の復活が即時の救済策にはならないとして警鐘を鳴らす。膨大な生産設備の老朽化や腐敗が進んだ国営石油会社PDVSAの立て直しには時間がかかると指摘され、インフレや為替危機を短期で解消する手立ては見えないままである。

住民たちはトランプ氏の約束する「再生」への期待を抱きつつも、当面は先行きへの不安が消えない。住民の多くは政治的変動や外部からの支援が実際の生活向上につながるかについて懐疑的な見方を示しており、即効性のある経済的改善を実感できる日が来るかどうかは不透明だ。

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