アルゼンチンの牛肉消費量回復、インフレ解消と賃金UPで

アルゼンチン人は過去数年、高インフレ、景気後退、貧困と失業率の増加により財布のひもを締め、牛肉からより安価な豚肉や鶏肉を積極的に消費していた。
ハンバーガーを食べる女性(Getty Images)

アルゼンチンのロサリオ穀物取引所(BCR)は8日、最近の経済回復により、国民1人あたりの牛肉消費量が増加したと明らかにした。

それによると、賃金がインフレ率を上回るペースで上昇したことが背景にあるという。

同国の平均賃金は24年6月から25年5月までの1年間で62.5%増加した。

一方、牛肉の価格も同期間で59%上昇した。

全体の消費者物価指数(CPI)は過去数年間の3桁から1桁まで低下したものの、牛肉の価格高騰は続いているようだ。

BCRによると、25年上半期の国民1人あたりの牛肉消費量は50.2キログラム、24年上半期の47.6キログラムから2.6キロ増加した。

BCRは声明で、「インフレが緩和し始め、ゆっくりではあるが消費者の懐が緩んだ結果、牛肉を購入する人が増えた」と述べている。

アルゼンチン人は過去数年、高インフレ、景気後退、貧困と失業率の増加により財布のひもを締め、牛肉からより安価な豚肉や鶏肉を積極的に消費していた。

アルゼンチンは2009年まで1人あたりの年間牛肉消費量世界1位であったが、その後はウルグアイに1位を譲り、2位となっている。

23年に就任したミレイ(Javier Milei)大統領は過去の左派政権が残した負債を一掃すると誓い、緊縮財政を推進。手厚い補助金を軒並み削減、物価統制を廃止し、通貨切り下げを含む抜本的な経済改革に着手した。

その結果、消費者物価指数(CPI)率は200%超から1桁台まで低下。16年ぶりに四半期ベースで財政黒字を達成するなど、多くの経済的成功を収めてきた。

しかし、補助金頼みの生活を送ってきた低所得者層はミレイ氏の激しいショック療法に耐え切れず、生活環境が悪化。貧困率は一時50%を超えた。

25年6月のインフレ率は前年同月比1.6%増。5月の1.5%を上回ったものの、過去5年間で最低水準を維持している。

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