アルゼンチン議会上院、ミレイ大統領の労働改革法案を可決、抗議デモ続く
同法は「労働近代化法」と位置づけられ、雇用契約や解雇、賃金、労使関係に関する既存の規制を大幅に緩和する内容が盛り込まれている。
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アルゼンチンの議会上院は2月27日、ミレイ(Javier Milei)大統領が推進する労働改革法案を可決し、労働市場の近代化に向けた歴史的な一歩を踏み出した。上院は賛成42ー反対28(棄権2)の賛成多数で法案を承認、ミレイ氏の署名で成立する予定だ。今回の改革はミレイ政権にとって最も重要な立法成果の一つとされる。
同法は「労働近代化法」と位置づけられ、雇用契約や解雇、賃金、労使関係に関する既存の規制を大幅に緩和する内容が盛り込まれている。政府はこの改革によって企業の雇用コストを引き下げ、投資を促進し、非公式雇用の削減と正規雇用の創出を目指していると説明している。約40%に達する非公式労働者の改善が高い国内経済の改善に資するとしている。
改革の中心には、雇用主に有利な雇用と解雇の柔軟性の確保、解雇手当の仕組み変更、集団交渉権の制限、ストライキ権の限定などがある。特に、過去に賃金やボーナス、休暇を含めた高額な解雇手当が大きな負担となっていた制度を改め、雇用主負担を軽減する新たな制度を導入する点が注目されている。また、標準労働時間を1日最大12時間まで延長可能とし、外貨建て給与の支払いも認めるなど労働条件の柔軟化が進むことになる。
政府はこれらの変更について、国内の厳しい経済環境を打開し、雇用を拡大するために必要だと強調している。ミレイ氏は法案可決後、X(旧ツイッター)に声明を投稿。「歴史的だ!我々は労働の近代化を実現した」と宣言し、今回の改革を自身の政策の中核とする姿勢を示した。支持者はこれが外国投資を呼び込み、生産性を高める基盤になると期待感を示している。
一方で労働組合や野党は強く反発している。アルゼンチン最大の労組「一般労働総同盟(CGT)」はストライキを実行し、法案審議期間中には全国的な抗議デモを展開した。労働者団体や左派グループは改革が労働者の権利を大幅に削減し、労働者保護を後退させるものだと批判している。賃金保護や休暇、ストの自由などの権利が損なわれるとして、法の実施後も抵抗を続ける意向を示している。
法案審議の過程でも議会周辺では抗議デモが発生し、警察とデモ隊が衝突して複数の逮捕者が出た。反対派は法案の撤回を求め、訴訟も辞さない構えを見せている。また国民世論は分断し、一部では改革が経済成長の鍵になるとの意見がある一方、多くは労働者の不安を強める結果になると懸念している。
今回の改革はミレイ政権が掲げる市場主義的政策の象徴であり、今後の経済政策全般に影響を及ぼす可能性がある。改革が実際に雇用の改善や経済の活性化につながるかどうかは、国内外の投資動向や雇用統計などを通じて今後検証されることになる。
