◎裁判は最高裁に持ち込まれるため、刑が確定するには何年もかかると予想されている。
アルゼンチンの地方裁判所は6日、公共事業を通じて10億ドルを横領したと告発されたクリスティナ・フェルナンデス(Cristina Fernández)副大統領に禁固6年と公職追放を言い渡した。
報道によると、判事はフェルナンデス氏が組織犯罪に関与したという訴えは退けたという。
アルゼンチンの副大統領が在任中に有罪判決を受けたのは初めて。
裁判は最高裁に持ち込まれるため、刑が確定するには何年もかかると予想されている。
フェルナンデス氏は声明で司法を「マフィア」と呼び、糾弾した。「国家転覆を企てる司法マフィアの攻撃には屈しません!」
フェルナンデス氏の支持者も判決に激しく反発し、ゼネストで国をマヒさせると誓った。
地元メディアによると、首都ブエノスアイレスの裁判所前に集まった数百人の支持者はドラムを叩き、警察のバリケードに突進したという。
フェルナンデス氏は2007~2015年の2期8年にわたり大統領を務めたものの、在任中の汚職疑惑により、検察に禁錮12年を求刑されていた。
検察はフェルナンデス氏が大統領在任中に南部サンタクルス州にある故キルチネル(Nestor Kirchner)元大統領の関連会社が所有する企業に便宜を図り、公共工事を51件受注させたと主張している。
このうち道路工事の不正受注で起訴された被告は昨年、別のマネーロンダリング事件で有罪判決を受けている。
判事は判決の中で、「会社は不適切な手順で工事を落札し、被告に謝礼を支払った」と述べている。
地元メディアによると、判決文は来年2月に提出される予定。その後、弁護側は最高裁に上告する。このプロセスには何年もかかる可能性があり、その間、フェルナンデス氏は公務を続ける。
野党はフェルナンデス氏を「前科者」「泥棒」「売春婦」と呼ぶキャンペーンを展開し、右派勢力の支持を集めようとしている。
フェルナンデス氏は今年9月、ブエノスアイレスの自宅前で銃を突き付けられた。警察はブラジル国籍の男をその場で逮捕。その後、事件に関与したとされる男女2人を逮捕した。
この暗殺未遂事件はアルゼンチンに衝撃を与え、与党に勢いをもたらしたものの、世論調査によると、フェルナンデス氏の無実を支持する割合は30~40%にとどまっている。
フェルナンデス氏は野党の誹謗中傷が暗殺未遂を引き起こしたと非難し、司法を右派勢力の手先と決めつけ、支持者に暴力を糾弾し、司法の独立を守るよう訴えている。
最新の世論調査によると、回答者の62%がフェルナンデス氏の退陣を望んだという。
フェルナンデス氏の息子と娘が関与したとされるマネーロンダリング事件は未解決のままである。