▽ミレイ政権による国営企業の民営化は初。紆余曲折の末、ようやく実現した。
アルゼンチン政府が国営企業IMPSAを民営化した。経産省が8日、明らかにした。
23年に就任したリバタリアンのミレイ(Javier Milei)大統領は過去の左派政権が残した負債を一掃すると誓い、緊縮財政を推進。国営企業を一つ残らず民営化し、手厚い補助金を軒並み削減、物価統制を廃止し、自国通貨アルゼンチン・ペソの切り下げを含む抜本的な経済改革に着手した。
ミレイ政権による国営企業の民営化は初。紆余曲折の末、ようやく実現した。
経産省によると、IMPSAの株式は米国を拠点とするコンソーシアム・インダストリアル・アクイジション・ファンド(IAF)に譲渡される。
政府の委員会はIMPSA売却の入札を審査。国や州政府が保有する株式をIAFに譲渡するよう勧告した。
ミレイ氏は「赤字ゼロ」予算達成の一環として、国営企業を民営化し、予算を削減することで、経済を立て直し、投資を呼び込むとしている。
経産省は声明で、「IMPSAは株式譲渡の契約が確定する前に、債務(5億7600万ドル)の再編交渉について債権者の承認を得なければならない」と指摘した。
IMPSAは1907年に設立され、冶金、エネルギー生成、技術部門向けにタービン、クレーン、リアクターなどの機器を製造している。
アルゼンチンの消費者物価指数(CPI)は昨年後半に1ケタ台まで低下し、過去3年間で最低の水準となった。
しかし、補助金頼みの生活を送ってきた低所得者層はミレイ氏の激しいショック療法に耐え切れず、生活環境が悪化。貧困率の激増につながった。
地元メディアによると、この1年で推定500万~650万人が新たに貧困状態に陥ったという。