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ブエノスアイレス州議会選挙、野党ペロン党が勝利、与党多数派奪還ならず

開票率82%の時点で、野党・ペロン党(正義党)の得票率が46.8%、ミレイ大統領の与党・自由前進(LLA)は33.8%となっている。
2025年9月7日/アルゼンチン、首都ブエノスアイレス、州議会選挙の投票所(ロイター通信)

アルゼンチン・ブエノスアイレス州で7日に行われた州議会選挙について、選挙管理委員会が暫定値を公表した。

それによると、開票率82%の時点で、野党・ペロン党(正義党)の得票率が46.8%、ミレイ(Javier Milei)大統領の与党・自由前進(LLA)は33.8%となっている。

ペロン党は世論調査でもLLAに大差をつけていた。

州知事選挙でもペロン党候補の勝利が確実視されている。

ミレイ氏は政権幹部の贈収賄スキャンダルや緊縮財政への懸念が高まる中、政権の命運を左右する重要なブエノスアイレス州選挙でフェルナンデス(Cristina Fernández)前副大統領(自宅軟禁中)のペロン党に大敗を喫した形だ。

10月には全国で連邦議会の中間選挙も行われる。

ミレイ氏は7日遅く、州での敗北を認めた後、自由主義政策を追求すると誓った。「方針は変わらない。むしろ強化される。財政均衡・経済開放・インフレ抑制に注力する...」

ミレイ氏はこの選挙で左派から多数派を奪還したいと考えていたが、スキャンダルに足を引っ張られた。

ミレイ氏は8月27日、ブエノスアイレス州での選挙活動中に反対派から石を投げつけられ、撤退を余儀なくされた。

ミレイ氏らが集会を行った地区は過去80年間に渡ってアルゼンチンを支配してきた労働者の権利を重視する福祉ポピュリズム「ペロニズム」の拠点であった。

これはアルゼンチンの民衆を基盤とする政治運動。創始者である故ペロン(Juan Domingo Perón)元大統領の名に由来する。

ペロニズムは社会正義の実現を最大の目的とし、弱者救済、不平等の解消をめざすポピュリズムの一形態である。

党の別名は正義党で、ペロン夫人(愛称エビータ)は貧者救済のシンボルとなった。

ミレイ氏は23年末に就任。過去の左派政権が残した負債を一掃すると誓い、緊縮財政を推進し、手厚い補助金を軒並み削減、物価統制を廃止し、通貨切り下げを含む抜本的な経済改革に着手した。

その結果、インフレ率は200%超から1桁台まで低下。16年ぶりに四半期ベースで財政黒字を達成するなど、多くの経済的成功を収めてきた。

しかし、補助金頼みの生活を送ってきた低所得者層はミレイ氏の激しいショック療法に耐え切れず、生活環境が悪化。貧困率は一時50%を超えた。

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