アルゼンチン大統領、政権幹部の汚職疑惑を否定「野党が偽情報拡散」
ミレイ氏はSNSに声明を投稿。懲役6年の実刑判決が確定したフェルナンデス前副大統領(自宅軟禁中)の政党と支持者が中傷キャンペーンを仕掛けていると非難した。
と与党議員たち(AP通信).jpg)
アルゼンチンのミレイ(Javier Milei)大統領は28日、自身の政権幹部と妹に対する汚職疑惑を否定し、左派政党が偽情報を拡散して政権転覆を企てていると主張した。
当局は先週末、ミレイ政権の障害者支援機関を率いていたスパニョーロ(Diego Spagnuolo)氏の自宅を捜索し、携帯電話などを押収した。
ミレイ氏は先週初めにスパニョーロ氏を解任していた。
地元メディアは先週、スパニョーロ氏とみられる人物が機関内の賄賂のやり取りについて議論する音声データを公開した。このデータがいつ、どこで記録されたかは分かっていない。
スパニョーロ氏とみられる人物はミレイ氏の妹である現首席補佐官が賄賂を受け取っていると示唆し、「この件で大統領と話し合ったが、何も解決しなかった」と述べている。
ミレイ氏はSNSに声明を投稿。懲役6年の実刑判決が確定したフェルナンデス(Cristina Fernández)前副大統領(自宅軟禁中)の政党と支持者が中傷キャンペーンを仕掛けていると非難した。
またミレイ氏はこれを「ペロニズム」による統治時代のやり方と呼んだ。
一連のトラブルはミレイ氏を守勢に立たせ、二つの重要な選挙を控え政治的駆け引きが激化する中、与党・自由前進(LLA)への支持基盤を蝕む恐れがある。
アルゼンチンで最も人口の多いブエノスアイレス州では9月7日に州議会選挙が、10月には全国で連邦議会の中間選挙も行われる。
ミレイ氏はこの選挙で左派から多数派を奪還したいと考えているが、最新の世論調査によると、過半数の獲得は容易ではない。
ミレイ氏は27日、ブエノスアイレス州での選挙活動中に反対派から石を投げつけられ、撤退を余儀なくされた。
ミレイ氏らが集会を行った地区は過去80年間に渡ってアルゼンチンを支配してきた労働者の権利を重視する福祉ポピュリズム「ペロニズム」の拠点であった。
これはアルゼンチンの民衆を基盤とする政治運動。創始者である故ペロン(Juan Domingo Perón)元大統領の名に由来する。
ペロニズムは社会正義の実現を最大の目的とし、弱者救済、不平等の解消をめざすポピュリズムの一形態である。
党の別名は正義党で、ペロン夫人(愛称エビータ)は貧者救済のシンボルとなった。
ミレイ氏は23年末に就任。過去の左派政権が残した負債を一掃すると誓い、緊縮財政を推進し、手厚い補助金を軒並み削減、物価統制を廃止し、通貨切り下げを含む抜本的な経済改革に着手した。
その結果、インフレ率は200%超から1桁台まで低下。16年ぶりに四半期ベースで財政黒字を達成するなど、多くの経済的成功を収めてきた。
しかし、補助金頼みの生活を送ってきた低所得者層はミレイ氏の激しいショック療法に耐え切れず、生活環境が悪化。貧困率は一時50%を超えた。