◎大統領選は10月22日に予定されている。
2023年10月12日/アルゼンチン、大統領選の最有力候補であるミレイ氏(中央)(Javier Corbalan/AP通信)

アルゼンチンの検察当局が13日、大統領選の最有力候補である無政府資本主義者のミレイ(Javier Milei)氏を刑事告発した。

地元メディアによると、検察庁はミレイ氏が意図的にアルゼンチン・ペソの下落を引き起こしたとして捜査しているようだ。

大統領選は10月22日に予定されている。

ミレイ氏はSNSに声明を投稿。刑事告発を「フェルナンデス(Alberto Fernández)大統領の陰謀」「政治的迫害」と呼び、糾弾した。

フェルナンデス氏は検察に提出した告発文の中で、「極右のポピュリスト候補はアルゼンチン国民を威嚇し、我が国の民主主義を侮辱した」と述べている。

検察庁の担当官は13日、「ミレイ氏と他の政党の候補数人は大衆の恐怖を煽り、通貨安を引き起こした」と批判した。

検察はミレイ氏を起訴できるだけの証拠があるかどうかを明らかにしていない。

ミレイ氏は8月の予備選で圧勝。勝利演説の中で「自由よ永遠なれ、こんちくしょう!」と叫び、左派のフェルナンデス政権を驚かせた。

最新の世論調査によると、ミレイ氏は最多得票を獲得する可能性が高いものの、当選に必要な過半数は確保できない見通し。

反中政策を公約に掲げるミレイ氏は今週放送されたラジオインタビューの中で、「ペソはアルゼンチンの左翼が発行した通貨。ガラクタであり、無価値だ」と語った。

またミレイ氏は国民に対し、「ペソを米ドルに両替しよう」と呼びかけた。「米ドルの価値が上がっていることを知らない人はいますか?左翼政府は知らないようです...」

ミレイ氏は10日にX(旧ツイッター)アカウントを更新、こう書き込んでいる。「さあ、やりましょう」

検察はミレイ氏が率いる政党「リバティ・アドバンス」に所属するブエノスアイレス州議会候補者も刑事告発するとしている。

ミレイ氏のライバルの一部はアルゼンチン・ペソの暴落に激怒し、大統領選から撤退するよう呼びかけていた。

アルゼンチン・ペソは現在「1ドル=350ペソ」前後で取引されている。しかし、同国のブルーレート(非公式市場レート)では「1ドル=1050ペソ」に急上昇。現在は「1ドル=980ペソ」前後となっている。

アルゼンチンは経済の低迷と140%という記録的なインフレに悩まされている。国連によると、同国の児童の50%以上がまともな食事をとれず、援助団体やNGOの支援に頼っているという。

ミレイ氏はこの国の猛烈なインフレを抑える唯一の答えは「経済のドル化」と主張。西側寄りの政策を推進する一方、米国を含む他国との協調には興味を示さず、「永世中立国のような政策を取り入れたい」としている。

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