◎アルゼンチンは現在、過去60年間で最悪の干ばつに見舞われ、北部では大規模な山火事が発生。送電線が損傷し、広い範囲で停電が続いている。
アルゼンチン当局は14日、先月の消費者物価指数(CPI)が前年同月から102.5%上昇したと発表した。CPIが100%を超えるのは1991年以来約30年ぶり。
政府の統計機関が14日に公表したレポートによると、先月のCPIは1月から6.6%上昇。食品と飲料の上昇率が特に大きかった。
肉、乳製品、卵製品は1月から約10%増。人口の9割を以上を占める低中所得者層の家計を直撃した。
アルゼンチンは現在、過去60年間で最悪の干ばつに見舞われ、北部では大規模な山火事が発生。送電線が損傷し、広い範囲で停電が続いている。干ばつによる穀物や大豆などの不作と大停電はインフレに拍車をかけると懸念されている。
アルゼンチンは米国やブラジルと並ぶ大豆の主要輸出国であり、トウモロコシ、小麦、その他穀物などの農産物も大量に輸出している。
しかし、未曽有の干ばつで穀物は枯れ、業界は今年の予想収穫量を過去最悪の水準に引き下げた。
ロサリオ穀物取引所(BCR)は今月、今年の大豆生産量の見通しを2700万トンと発表した。これは統計を取り始めて以来最も少ない。
アルゼンチンはブラジルに次ぐ南米の経済大国である。しかし、1980年代の債務危機とその後の慢性的なハイパーインフレは経済を低迷させた。
1980年代の債務危機は1989年にピークに達し、CPIは3000%を超えた。
フェルナンデス政権は10月に総選挙を控えている。最新の世論調査によると、穀物・大豆生産の記録的な不調は左派政権にウンザリしている右派勢力を後押しする可能性があるという。
アルゼンチンは歴史的な通貨安にも直面している。デフォルト(債務不履行)を回避するためには国際通貨基金(IMF)の融資が欠かせない。
アルゼンチン・ペソは14日時点で「1ドル=202Aペソ」まで暴落。20年前は「1ドル=3Aペソ」前後で取引されていた。
対外債務の処理に苦しむフェルナンデス政権は2018年、IMFから570億ドル以上の融資を受けるという、同国史上最大の「物議を醸す」融資契約を交わした。
しかし、2018年以降、インフレは進み、通貨は暴落。IMFと交わした債務再編計画は思うように進んでいない。