◎現在の最高額紙幣は2000ペソ札である。
アルゼンチンの新紙幣である1万アルゼンチン・ペソ札が来月から市中に出回る予定だ。現地メディアが8日に報じた。
同国の中央銀行は今週、「1万ペソ札が国民の負担軽減につながると確信している」と表明した。
現在の最高額紙幣は2000ペソ札である。多くの市民が単純な取引のためにスーツケースに紙幣を詰め込み、持ち歩いている。
アルゼンチンの年間インフレ率(27.4~28.3)は22年比で287%増となり、世界で最も高い水準にある。
中央銀行は声明で、「利用者間の取引を容易にする新しい紙幣が来月から市中に出回る予定である」と述べた。
1万ペソ札はアルゼンチンの公式為替レートで約11ドル(1710円)、闇市場で9ドル(1400円)の価値となっている。
地元メディアによると、国内で最も流通量の多い紙幣は1000ペソ札。2017年に導入された時、闇市場では58ドル(9000円)で取引されていたが、現在は1ドルほどである。
アルゼンチンは過去20年で最悪の金融危機に直面している。多くの業者が大きな買い物のために昔ながらの現金払いを好み、電子送金より紙幣を奨励する割引イベントなどを行っている。
昨年12月に就任したミレイ(Javier Milei)大統領は債務を積み重ねてきた過去の左派政権の政策を転換。インフレを抑制し、自国通貨を安定させると公約に掲げて選挙戦を戦った。
アルゼンチンの今年の消費者物価指数(CPI)はフェルナンデス前政権時代の200%超から20%台に低下。厳しい緊縮財政に国民が耐えられるかどうかが焦点となっている。
ミレイ氏は公的支出を削減し、政府庁舎の数を半減させ、中央銀行を解体し、自国通貨ペソを米ドルに置き換えると宣言している。
しかし、その一方で、緊縮財政は物価を欧米の水準にまで押し上げ、市民の経済的苦境に拍車をかけている。9日にはミレイ政権に抗議する新たな全国ストライキが行われる予定だ。