アルゼンチン最大労組、ミレイ政権の労働改革に待った、裁判所に訴状提出
労働改革法案は先週、議会上院で可決・成立。これは雇用や解雇、退職金、団体交渉などに関する規定を大幅に見直し、企業に対する柔軟性を高める内容となっているが、労組はこれが憲法に反すると主張している。
と議員ら(AP通信).jpg)
アルゼンチン最大の労働組合である「一般労働総同盟(CGT)」は2日、、ミレイ(Javier Milei)大統領が推進する労働改革を阻止するため、ブエノスアイレスの裁判所に訴訟を起こした。労働改革法案は先週、議会上院で可決・成立。これは雇用や解雇、退職金、団体交渉などに関する規定を大幅に見直し、企業に対する柔軟性を高める内容となっているが、労組はこれが憲法に反すると主張している。
CGTは声明で、今回の改革は「労働者の集団的・個別的権利への深刻な侵害」であり、労働条件を後退させる憲法上の原則に反すると訴えた。具体的には、労働権利の改善を促進する「進歩性の原則」と、労働者を保護する「保護原則」に違反しているとし、効力停止を求めている。裁判所は今後、訴状を受理するかどうか判断し、場合によっては差し止め命令を出す可能性もある。
改革法案は雇用契約の規制緩和や退職金制度の変更を含む包括的な見直しを盛り込んでいる。ミレイ氏はこれを「歴史的な労働の近代化」と表現し、アルゼンチン経済の競争力を高め、外国からの投資誘致や正規雇用の創出につながると説明してきた。政府は現在の労働市場を硬直的と批判し、現行制度が雇用の非公式化を助長していると指摘している。
一方で労組や野党は改革が半世紀以上にわたりアルゼンチン社会を支えてきた労働者保護を弱体化させると強く反発している。CGTは今回の訴訟に先立ち、24時間の全国ストライキを実施するなど、抗議行動を展開してきた。議会での審議中には左派グループや労働者らが議会前で抗議し、警察と衝突する場面も見られた。
改革の主要な争点の一つは、労働者の権利を後退させる可能性がある条項だ。例えば、従来の労働時間や退職金に関する規定の緩和、職場ごとの労使交渉の推進、ストライキ権の制限などが挙げられ、これまで労組が築いてきた権限を削ぐことになると批判されている。労組はこれがペロン主義以降の労働法制の根幹を揺るがすものだとしている。
ミレイ氏は2023年末の就任以来、インフレ抑制や通貨安定化といった成果を積み上げる一方で、経済構造改革を進めてきた。労働法改革はその一環であり、市場重視の政策を掲げる政府は雇用の柔軟性向上が結果的に失業率低下や投資増につながると主張している。しかし、法律施行後の労働条件悪化や地域経済への影響を懸念する声は根強い。
CGTの訴訟は裁判所が受理するかどうかの段階、結果次第では施行が延期される可能性がある。アルゼンチン社会は現在、巨大な労働法の転換点に直面しており、司法と政治の動向に注目が集まっている。
