アルゼンチン、「人道に対する罪」で米国にマドゥロの身柄引き渡しを要請
アルゼンチン側はマドゥロがベネズエラ国内で反対派や市民に対して「人道に対する罪」を犯したとして、同国で裁判にかけるための引き渡しを求めている。
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アルゼンチンの連邦裁判所は4日、米国で勾留されているベネズエラのマドゥロ(Nicolas Maduro)前大統領の身柄引き渡しを正式に要請したと明らかにした。アルゼンチン側はマドゥロがベネズエラ国内で反対派や市民に対して「人道に対する罪」を犯したとして、同国で裁判にかけるための引き渡しを求めている。
この要請は首都ブエノスアイレスの連邦判事が署名した国際司法嘱託状に基づくもので、1997年にアルゼンチンと米国の間で締結された引き渡し条約を根拠としている。裁判所は米国側に対し、関連文書の「緊急の翻訳」を外務省国際法支援局を通じて行うことと、アルゼンチン連邦警察のインターポール部門に訴追事案を通知するよう命じた。
この事件は2023年に提起された捜査が発端であり、人権団体がベネズエラの被害者を代理して訴えを起こした。訴状ではマドゥロ政権下での拷問、恣意的な拘禁、強制失踪などが組織的かつ継続的に行われたと主張されている。アルゼンチンの裁判所は「普遍的司法権」の原則を引用し、これらの重大な国際犯罪について発生国外でも訴追できると判断した。
マドゥロは先月初め、米軍による軍事作戦で拘束後、ニューヨーク州へ移送された。米国でも既に麻薬関連の容疑で裁判が進行中で、過去25年以上にわたり大量のコカインを米国に密輸したとして、マドゥロと妻が起訴されている。米南部地区連邦地裁では当初3月17日に予定されていた審理が3月26日に延期された。
アルゼンチンの裁判所は2024年9月にマドゥロを国際的に逮捕・取り調べるための拘束命令を出していた。この命令は2025年1月15日に再確認されている。今回の引き渡し要請はこれらの先行する手続きに続いて発せられたものである。
この引き渡し請求は国際的な法的・外交的な複雑さを伴う。米側がアルゼンチンの要求に応じるかどうかは不透明である。米国でもマドゥロに対する麻薬密輸やテロ関連の捜査が継続中で、裁判が進行中であることから、引き渡しについてどのように調整するかが焦点となる。
アルゼンチン国内ではこの動きを人権擁護の観点から歓迎する声がある一方で、外交的摩擦や国際法上の議論も予想される。特に普遍的司法権を巡る法的根拠については、国際社会での先例が限定的であり、アルゼンチンが主導する今回の訴追が国際人権法の新たな一歩となる可能性があるとして注目されている。
