アルゼンチン26年1月インフレ率が小幅上昇、時代遅れの指数で懸念広がる
消費者物価は食料品や外食、ホテル、光熱費などの値上がりを背景に上昇し、経済危機に苦しむ同国で再びインフレ圧力が強まっているとみられている。
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アルゼンチンの26年1月のインフレ率が5カ月連続で上昇し、前月比で2.9%増となった。国家統計局(INDEC)が11日に発表した。消費者物価は食料品や外食、ホテル、光熱費などの値上がりを背景に上昇し、経済危機に苦しむ同国で再びインフレ圧力が強まっているとみられている。今回の統計を巡っては、 時代遅れのインフレ指数の適用を続けたことが政治的な波紋を広げ、ハイパーインフレ抑制を主要政策とするミレイ(Javier Milei)大統領の頭痛の種となっている。
INDECが現在使用しているインフレ指数は、2004年当時の消費行動を基にした「バスケット」を用いており、 タバコや新聞、DVD、固定電話など現代の消費とはかけ離れた品目が重視されている。これに対して専門家らは、インデックスが現代的な消費パターン、Netflixのサブスクリプションやスマートフォン利用を十分に反映しておらず、特に医療や電気などの公共サービス価格上昇を過小評価していると批判している。ミレイ政権は新しい指数の導入を表明していたが、 先週になって導入を見送る方針を発表したことが信頼低下につながった。
この決定を受け、INDECの統計局長が辞任し、アルゼンチンの代表的株価指数S&P Mervalは数%下落した。市場関係者や一般市民からは「パンドラの箱が開いた」との声が上がり、公式統計への信頼が揺らいでいるとの指摘が出ている。専門家の一部は、指数更新を遅らせたことが短期的な政治的目標を優先するものであり、中・長期的な統計の信頼性を損なう恐れがあると警鐘を鳴らしている。
アルゼンチンは長年にわたり高インフレに悩まされ、ミレイ氏が24年から進めてきた大幅な歳出削減や補助金の削減、通貨政策の改革でインフレ率は急低下していたものの、直近では再び上昇傾向にある。INDECによると、23年末には年間インフレ率が200%超に達していたものが、昨年は31%前後まで低下、それでも多くの国民が価格上昇を痛感している。
消費者の間では、給与の伸びが物価上昇に追いつかず、 実質的な購買力が低下しているとの懸念が根強い。首都ブエノスアイレスの若手グラフィックデザイナーは、「結局のところ、賃金で買えるものが減っている」と語り、日常生活の負担が重くなっている実態を示している。
ミレイ政権はインフレ抑制を公約の一つに掲げ、財政赤字の削減や補助金撤廃、対ドル為替レートの安定などを進めてきた。これらの政策は一部で評価され、国際通貨基金(IMF)や投資家からの支持も一定程度得ている。しかし、最低賃金や社会保障の削減、生活費上昇による国民生活の悪化が批判材料となっている。
インフレ指数の見直しを巡る混乱は、かつての左派政権下で統計が政治的に操作されたとの過去の記憶も呼び起こしている。2007〜13年には当時の政府が統計局の人事を刷新し、インフレ率を実際より低く見せ、批判された経緯がある。今回の混乱は統計の独立性と政府の経済運営透明性が改めて問われる契機となっている。
今回のインフレ率の上昇と指数論争は、ミレイ政権の経済政策の持続可能性を巡る重要な課題となっており、今後の物価動向や統計改革の実行が国内外の注目を集めることになりそうだ。
