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アルゼンチン大統領が訪米、トランプ氏との連携強化、課題も

ミレイ氏は極めて親米的な外交姿勢を打ち出し、トランプ政権と歩調を合わせて中国の影響力に対抗する意向を示してきた。
2025年10月14日/米ワシントンDCホワイトハウス、トランプ大統領(左)とアルゼンチンのミレイ大統領(AP通信)

アルゼンチンのミレイ(Javier Milei)大統領は18日、米国への14回目の公式訪問のため首都ブエノスアイレスを出発した。この訪米ではトランプ(Donald Trump)大統領が主導する「平和評議会(Board of Peace)」の初会合に出席する予定だ。ミレイ氏は3月7日にフロリダ州マイアミで予定されているラテンアメリカ首脳の会合にも参加する見込みである。

ミレイ氏は極めて親米的な外交姿勢を打ち出し、トランプ政権と歩調を合わせて中国の影響力に対抗する意向を示してきた。しかし、アルゼンチンと中国との関係は依然として強固であり、対中貿易をどう扱うかが今後の外交政策の大きな焦点となっている。

ミレイ政権は反共主義的な言動で注目され、選挙戦では中国を「暗殺者」と呼ぶなど強硬な姿勢を示したこともあった。しかし専門家は、現実的な経済事情から中国との関係を断ち切ることはできないと指摘している。アルゼンチン統計局の最新データによると、中国は同国最大の貿易相手国で、2025年の輸出額は前年比125%の増加、輸入も26%増と堅調に推移している。

アメリカと中国という二大国との関係に挟まれたアルゼンチンの立ち位置は外交上の「綱渡り」とも評され、ミレイ政権のジレンマが露呈している。米シンクタンクのウィルソンセンターは、「アルゼンチンは南米のエネルギー、食料、鉱物資源を中国の旺盛な需要に頼っており、米国がそれを完全に代替することはできない」と述べている。

国内の経済改革も対外関係に影響を及ぼしている。ミレイ氏は急進的な経済政策を掲げ、インフレ抑制や資本規制の緩和を進める一方で、保護主義的な産業構造を転換しようとしている。この政策は一部の企業から評価されているが、国内の製造業界からは中国製品との競争激化による懸念が強まっている。最近、中国製電気自動車が到着し、地元産業への影響が議論となった。

こうした環境変化の中で、国内主要タイヤメーカーの一つが市場条件の変化を理由に工場閉鎖と900人超の解雇を発表。労働省が一時的な解雇停止命令を出す事態も発生している。専門家は、自由貿易の拡大が雇用や国内製造業に与える影響への対応策が不可欠との見方を示している。

一方で、米国との関係強化は経済的支援の面でも進展している。昨年10月には米財務省が約200億ドル規模の通貨スワップ協定を通じてアルゼンチンへの経済支援を実施し、ペソ安定を図るなど米側の支援が顕著になっている。

今回の訪米では、トランプ政権が掲げる西半球における影響力強化策への協調姿勢を示すと同時に、アルゼンチンの対中関係に関する立場を改めて示す機会となる見込みだ。アルゼンチン側は対米関係の深化が中国との経済的結びつきを損なうものではないと強調し、両大国間でのバランス外交を展開する方針を維持している。

ミレイ氏の訪米は、外交政策の方向性を国内外に発信する重要な機会となるが、経済面・安全保障面の両立という難しい課題に直面していることは明らかである。

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