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アルゼンチン議会下院、ミレイ大統領の労働改革法案を可決、抗議デモ続く中

ミレイ政権が「労働市場の近代化」と位置付ける改革は、労働法の規制緩和を通じて企業の雇用促進と投資誘致を図るもので、雇用契約や解雇、賃金体系、労使交渉のルールなどに大幅な変更を加える内容となっている。
アルゼンチン、首都ブエノスアイレス、ミレイ大統領に抗議するデモ(AP通信)

アルゼンチンの議会下院は20日、ミレイ(Javier Milei)大統領が推進する労働改革法案を賛成多数で可決し、修正を加えた上で上院に送った。法案は賛成ー反対115で可決された。採決は労働組合による全国的なストライキと抗議デモのただ中で行われた。

ミレイ政権が「労働市場の近代化」と位置付ける改革は、労働法の規制緩和を通じて企業の雇用促進と投資誘致を図るもので、雇用契約や解雇、賃金体系、労使交渉のルールなどに大幅な変更を加える内容となっている。与党議員は現行法が労働市場の停滞と非正規雇用の増加を招いているとして、改革の必要性を強調した。

採決に先立ち、一般労働総同盟(CGT)を中心とする主要労組が全国で24時間ストを実施した。ストは交通機関・公共サービスの停止や企業・学校の閉鎖を引き起こし、空港便の欠航や港湾での貨物輸送の停止など、経済活動の広範な混乱を招いた。労組側は改革案が労働者の権利を著しく削減し、スト権や団体交渉権を制限するとして強く反発している。

下院での審議は長時間に及び、深夜まで議論が続いた。議論の過程で最も物議を醸していた条文の一つである第44条が削除される修正が行われた。この条文は病気休暇時の賃金計算を大幅に削減する規定で、労働者の反発が強かったためである。修正により法案は再び上院での承認を必要とし、最終的な成立は上院の採決を経て大統領署名へと進む。政府は3月1日から始まる通常国会開催までに承認を得ることを目指している。

改革案の主要な変更点には、企業が賃金構成に含まれるボーナスや手当を除いた基本給ベースで解雇手当を計算する仕組みの導入、労働時間の延長や「時間バンク」制度の創設、団体交渉の優先順位見直しなどが含まれる。また、ストを行う際に必須サービスの最低稼働を義務付ける条項も盛り込まれている。これらは企業にとって柔軟な運用を可能とする一方、労組や野党は「労働者の権利を後退させる」と厳しく批判している。

ミレイ氏は自由市場重視の政策を掲げ、労働法改革はその中核的施策と位置付けられている。政府はこの改革によって非正規労働者を含む幅広い労働者が正規雇用に移行し、投資が活性化すると主張する。だが、労組や野党は改革が社会的な不平等を拡大し、労働者の生活条件を悪化させるとの懸念を示している。今後の上院での最終採決をめぐって与野党の攻防は一段と激しさを増す見込みである。

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