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アルゼンチン全土でストライキ、労働組合がミレイ大統領に抗議

銀行や公立学校は休業し、バスや地下鉄などの公共交通機関が運行を停止、主要航空会社も多くの便がキャンセルされ、病院も緊急以外の診療を延期するなど国全体で影響が出た。
2026年2月19日/アルゼンチン、首都ブエノスアイレスのバス停(AP通信)

アルゼンチンで全国的な労働組合のストライキが2月19日に実施され、主要な産業活動が大きく停滞した。これはミレイ(Javier Milei)大統領が推進している労働法改正案に対する抗議が目的で、同国最大の労働組合を中心に1日限りのストが呼び掛けられたものである。銀行や公立学校は休業し、バスや地下鉄などの公共交通機関が運行を停止、主要航空会社も多くの便がキャンセルされ、病院も緊急以外の診療を延期するなど国全体で影響が出た。

ミレイ政権が提出した労働法改正案は、 約50年ぶりの労働法の大幅見直しを掲げるもので、企業活動の柔軟性向上や外国投資誘致、雇用創出を目的としている。ミレイ氏はこの改革を通じて経済の生産性を高め、非公式労働者が多い労働市場の改善を図る意向を示している。しかし、労働組合側はこの改革が長年守られてきた労働者の権利を脅かす内容であると強く批判している。具体的には高額な解雇手当の引き下げ、スト権制限の強化、解雇の容易化、1日12時間労働の容認といった点が問題視されている。

ストを主導する一般労働総同盟(CGT)の書記長は記者会見で「この改革案は完全に逆行的であり、労働者の権利を制限することしか優先していない」と述べ、組合側の強い反発を示した。労組の見積もりによると、約1300万人の登録労働者のうち40%が組合に所属し、多くがかつての労働運動を基盤とするペロニズム運動と結び付いている。

このストはミレイ氏にとって初の大規模な政治的試練で、その政治力が問われる局面となっている。ミレイ氏は昨年の中間選挙で勝利し、政権基盤を固めたが、労働法改革はこれまで以上に国民の支持と反発を引き起こしている。さらに、ストは下院での審議と同日に行われ、法案が今後どのように扱われるかが不透明な状況となっている。法案は上院の承認を得たものの、下院の審議を経て修正が加えられる可能性が高く、可決されれば再び上院に戻され最終的な承認が必要となる。

ストには運輸、建設、食品サービスなどの主要産業の労働者が参加し、国内の物流や交通、公共サービスが大幅に停滞した。主要港でも港湾労働者の職場放棄が影響し、農産物の輸出が遅延するなど経済活動全般に混乱が広がった。こうした抗議行動は過去にも旧来の労働法への不満が高まった際に労組が発動したことがあるが、今回は政府主導の大規模改革を巡る対決という性格を持つ。

ミレイ政権は今回のストに対し、改革の必要性を訴え、労働市場の柔軟性と経済成長への道筋を強調しているものの、労組の根強い抵抗と社会的不満は今後の政治・経済の安定に影を落とす可能性がある。法案の行方とスト後の交渉がアルゼンチン社会にどのような影響を及ぼすか、国内外からの注目が集まっている。

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