メキシコシティでコロンビア人2人の遺体見つかる、警察が発表
2人は9月16日、メキシコシティの高級住宅街にあるジムに向かった後、消息を絶った。
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メキシコの首都メキシコシティ郊外で先週から行方が分からなくなっていたコロンビア人ミュージシャン2人の遺体が見つかった。地元警察が22日、明らかにした。
それによると、2人の遺体はメヒコ州とメキシコシティの境界付近で発見されたという。死因は明らかになっていない。
2人は9月16日、メキシコシティの高級住宅街にあるジムに向かった後、消息を絶った。
地元メディアは情報筋の話しとして、「2人の遺体には犯罪組織からのメッセージが残されていた」と伝えている。
メキシコの麻薬カルテルは対立する組織の構成員や関係者を殺害した後、遺体を切り刻んで放置することがよくある。この行為には複数の意図がある。
第一に、恐怖を植え付けるための残虐な見せしめである。カルテル間の抗争や政府当局に対する威嚇として、凄惨な手口を使うことで敵対勢力や住民に心理的な圧力を与える。遺体を切断し、公然と晒したり動画を拡散することは「逆らえば同じ運命を辿る」という強烈なメッセージになる。
第二に、内部統制の手段として利用される場合がある。組織に背いた者や裏切り者に対して、処刑を極端に残虐な形で行うことで内部の結束を保ち、裏切りを防ぐ抑止力とする。
第三に、犯罪市場における「評判」作りも重要である。カルテルは地域の支配力を競っており、残酷な行為を行うほど「恐怖による支配力」が強まると考える。これらの行為は単なる殺害ではなく、戦略的な心理戦の一部であり、暴力を極端な形で可視化することで勢力を誇示し、支配を確立する狙いがある。
検察庁によると、2人の親族が身元を確認したという。
連邦警察はX(旧ツイッター)に声明を投稿。2人を殺害し、遺体を遺棄した容疑者を追跡していると書いた。
コロンビアのペトロ(Gustavo Petro)大統領もXに声明を投稿し、ラテンアメリカの麻薬カルテルと麻薬戦争を非難した。
メキシコの殺人検挙率は極めて低く、国際的にも深刻な問題とされている。統計によると、同国で発生する殺人事件のうち、実際に加害者が逮捕・起訴される割合は10%を大きく下回る。国連や現地調査機関の報告によると、近年の全国平均で見ると殺人事件の検挙率はおおむね2〜5%程度、95%以上の事件が未解決のまま放置されていることを意味する。これはOECD諸国や他のラテンアメリカ諸国と比べても極端に低い水準であり、事実上「殺人が裁かれない国」という評価を受ける大きな要因となっている。