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米国の「AIバブル」、本当に巨額の利益を生む?

2025年前半、AI関連への支出の急増は米国内総生産(GDP)の成長の約3分の2を占めたと、JPモルガン・アセット・マネジメントは分析している。
米人工知能(AI)開発企業オープンAIのロゴ(ロイター通信)

米国経済は現在、人工知能(AI)への巨額投資に大きく依存するようになっている。一方で、こうした急速な投資が「バブル」である可能性に対する警戒も高まっており、その先にある収益化の見通しに注目が集まっている。

2025年前半、AI関連への支出の急増は米国内総生産(GDP)の成長の約3分の2を占めたと、JPモルガン・アセット・マネジメントは分析している。多くの大手企業が、AIを動かすための高性能チップやデータセンターに多額の資金を投入してきた。

こうした背景のもと、最も基本的で重要な問いが浮かぶ。「AIは本当に大きな利益を生み出せるのか?」である。支持論者たちは、インターネットの導入期に見られたような「インフラ整備 → 利用拡大 → 収益化」のラグ(時間差)がいま起きていると主張する。彼らはChatGPTのようなAI製品の急速な普及が、今後大きな収益源となる可能性を提示する。実際、AI企業はこれまで利益よりもまず製品開発と基盤構築を優先してきた。

しかし、懐疑的な専門家らは、現状のコスト構造と収益性のギャップを強く指摘する。たとえば、複数の専門家は「この段階で利益が出ないのは珍しくない。しかし多くの市場は、ここまで“何兆ドルもの投資”を必要としていなかった」と指摘、現在のAI市場の規模を問題視する。

また、ある7月の調査では、AIに投資した企業の約95%がその投資を回収できておらず、合計で約400億ドルが費やされたと報告されている。消費者向けサービスも同様に苦戦中だ。ChatGPTは週あたり約8億人のアクティブユーザー記録を打ち立てるものの、既存の大手アプリ群と比べても収益は依然として小規模だという。

もちろん、希望を捨てる専門家ばかりではない。あるデータサイエンス教授は、「まだ“序盤戦”だ」と指摘。AIが将来的に重要な利益を生む可能性を完全には否定していない。企業や社会がAIの使いこなしに慣れ、業務プロセスを根本から作り直すような“変革”を実現できれば、生産性向上と収益化が見込めるという。

しかし、他の批判者は、AIが抱える根本的な問題を指摘する。例えば、AIサービスを大規模に提供するには莫大なエネルギー消費とサーバー運用コストが必要であり、利用者が増えれば増えるほどコストも比例して膨らむ。従来のデジタルサービスのように“スケールしてもコストがほとんど増えない”という性質がAIには当てはまらないとしている。

また、ある数学者は、データセンターなどのインフラに投じられた「何兆ドル」という資金を正当化するには、収益が現在の巨大IT企業の売上高を超える規模で伸びる必要があると指摘し、その難しさを強調している。

総じて言えるのは、AIへの投資と期待は過去にない規模に達しているものの、“それに見合う収益化”はまだ達成されておらず、成功するかどうかは不透明だということだ。AIが社会・経済に与えるインパクトを考えれば、投資の多くは“未来への賭け”であり、収益化のタイミングや規模、そして持続性は今後数年のうちに見えてくる可能性がある。

ただし、もし期待が過剰であったと判明すれば、急激な投資収縮が起き、株式市場や経済全体に打撃が及ぶ懸念もある。AIは“夢”か“バブル”か。その答えはまだ出ていない。

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