米国で若者の「大腸がん」増加、生活習慣や環境の変化が原因か
米国がん協会(ACS)によると、大腸がん患者の5人に1人が55歳未満で診断されている。
.jpg)
米国で近年、20〜40代など若い成人の大腸がん(結腸・直腸がん)罹患率と死亡率が著しく増加している。かつては中高年に多い病気とされていた大腸がんが、近年は若年層にも広がり、専門家の間で大きな懸念が広がっている。
米国がん協会(ACS)によると、大腸がん患者の5人に1人が55歳未満で診断されている。若年層における大腸がんの増加はここ30年近く続いており、死亡率も上昇している。50歳未満の男性では大腸がんが最も致命的ながんとなり、女性でも2番目に多い死因となっている。
専門家はこの傾向について「複数の要因が絡む複雑な現象」で、単一の決定的な原因は特定されていないと指摘する。メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのアンドレア・セルチェック(Andrea Cercek)医師は「原因は極めて不明瞭で、単一の“引き金”を特定するのは困難だ」と述べている。
原因とみられる要素には、生活習慣や環境の変化が含まれる。超加工食品や高脂肪・高糖質の食生活、食物繊維不足、肥満、運動不足、飲酒や喫煙などが大腸がんリスクを高める可能性があるとしている。これらの要素は若年層の生活習慣の変化と重なる部分があり、研究者が調査を進めている。
また、慢性炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)や家族の罹患歴、遺伝的要因もリスクを高めるとされるが、若い患者の多くはこれらに該当しないケースも多いという。こうしたことから、なぜ若い世代で急増しているのかは依然として明確でない。
診断時の進行も深刻で、若年患者の多くがステージIIIやIVに進行した状態で見つかることが多いという。進行したがんは治療が難しく、生存率が低下するため、早期発見の重要性が強調されている。
こうした状況を受けて、米国予防医療作業部会は2021年に平均リスク者の大腸がんスクリーニング開始年齢を従来の50歳から45歳に引き下げた。また、家族にがん患者がいる人に対しては40歳または家族発症年齢の10年前に開始することを推奨している。しかし、これでも20〜30代の急増傾向に対応しきれているとは言い難い。
専門家は症状の早期認識の啓発、リスク因子の管理、健康的な生活習慣の促進を訴えている。大腸がんの主な症状には血便や排便習慣の変化、腹痛、体重減少などがあり、これらが見られた場合には早めの医療機関受診が重要だと指摘されている。
米国における若年大腸がんの増加は国際的にも注目されている問題で、原因解明と予防法確立に向けた研究が加速している。専門家らは今後も罹患率と死亡率の動向を注意深く見守る必要があると強調している。
