米国で「大人の学び直し」人気、大学がカリキュラム提供
成人が積極的に学び直す動きは、雇用環境の変化や個人の成長志向と相まって、今後も高まるとみられている。
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米国ではキャリアアップや個人的な趣味を追求する大人が大学教育の「新たな多数派」となっており、専門証明書取得、学位取得を目的に多くの成人が学校に戻っている。起業、人工知能(AI)の学習、趣味の追及など多様な目的で講座を受講する例が増えているという。
アリゾナ州のノーザンアリゾナ大学はこうした成人学習者について、「子どもがいる」「フルタイムで働いている」など従来の学生とは異なる背景を持つことが多いと説明する。仕事や家庭の責任を抱えながら学ぶことは負担が大きいが、生活経験を学習に生かしながら充実感を得る人も少なくないという。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校ではインテリアデザインや幼児教育、会計、写真、パラリーガル(法律事務支援)、音楽制作など90以上の証明書・専門プログラムを提供している。個別講座は退職後の資金計画、小説執筆、アスリートやアーティストのビジネス、日本の生花といった幅広い内容を網羅しており、昨年度には約3万3500人が受講、そのうち35歳以上がほぼ半数を占めた。同校は大人の学習者を「継続的な学び手、新たな多数派の学生」と呼んでいる。
専門家によると、こうした学び直しの動機には経済的な不安や技術革新の影響がある。特にAIなど新技術の急速な進展により、5〜10年前に取得した学位だけでは最新の知識や技能が不十分と感じる人が増えているという。ロサンゼルス校はこうした変化が成人の教育需要を押し上げていると指摘する。
成人が再び学校に戻る際には時間や予算、将来のキャリア目標を見極めることが重要だと教育アドバイザーも助言する。例えば、将来ビール醸造所を開きたい場合は醸造技術や起業ノウハウを学ぶことが役立つし、昇進や転職を目指す場合は、新たな業界知識や専門技能の習得が資格証明につながる可能性がある。
こうした需要に応えるため、ロサンゼルス校やノーザンアリゾナ大学では通常の学位コースより低廉な料金設定や財政支援を用意し、対面、オンライン、加速コース、自主学習形式など多様な学習形態を提供している。これにより、仕事や家庭のスケジュールに合わせた学習が可能になる。
一方で学習への心理的障壁も存在する。久しぶりの数学やテクノロジーの学習に不安を抱く人も多く、自己効力感の低さが学び直しへの踏み出しをためらわせるケースもある。専門家は高等教育へのアクセス意識の欠如が心理的障壁の一因と述べている。こうした点を克服するには、サポート体制の整備や学習コミュニティへの参加が鍵となるという。
実際、ロサンゼルス校でアドバイジングや学生成功支援を担当するケイティ・スウェイブリー(Katie Swavely)氏の経験では、家族や職務との両立に苦労しながらもサポートを受けて学位を取得した例があり、学び続けることで自己投資につながるとの考えを示している。彼女は「学ぶのに年齢は関係ない」と強調している。
成人が積極的に学び直す動きは、雇用環境の変化や個人の成長志向と相まって、今後も高まるとみられている。
