米政府、「麻薬密輸船」生存者への「追撃」認める、提督が指示
米海軍は先月、麻薬密輸が疑われる船をミサイルで攻撃。その後、生存者が確認されたとの報告を受け、続いて第二の攻撃を実施し、生存者数人が死亡したとされる。
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米政府は1日、カリブ海における「麻薬密輸船」への攻撃について、海軍提督による「追撃」が命じられたことを認め、その行為は合法であったと断言した。
米海軍は先月、麻薬密輸が疑われる船をミサイルで攻撃。その後、生存者が確認されたとの報告を受け、続いて第二の攻撃を実施し、生存者数人が死亡したとされる。
この事態を巡り、野党・与党を問わず議会や法曹関係者から強い懸念が出ている。もし生存者が明確に無防備な状態であったにもかかわらず攻撃されたのであれば、「戦争犯罪」に該当する可能性がある、との声があがっている。
米海軍は9月、外国テロ組織に指定されているベネズエラの麻薬組織トレンデアラグアが運航する麻薬輸送船を空爆し、構成員11人を殺害。その後、さらに19隻の麻薬密輸船を爆撃した。
一連の攻撃による死者は80人にのぼっている。
ホワイトハウスのレビット(Karoline Leavitt)報道官は1日、公海上での作戦は米国および国際法に基づき適法であったと強調。責任者であるブラッドリー(Frank M. Bradley)提督が法の枠内で行動したとの見解を示した。
またレビット氏はこの作戦が「麻薬密輸組織」すなわち「ナルコテロリスト(麻薬を密輸・売買するテロリストの意)」への打撃を目的としたものであり、米本土の安全を守る正当な軍事行動であったと説明した。
これに対し、議会では調査が開始される見通しだ。生存者を対象とした追撃が行われたかどうか、またその法的根拠の妥当性について、軍の指示系統や作戦の承認過程の解明が求められている。
この攻撃はトランプ政権が実施してきた、麻薬密輸ネットワークへの軍事圧力の一環とされている。
現在、国際人道法の専門家からは、「無防備な生存者を撃つことは明らかに禁止されており、たとえ麻薬密輸目的の船であっても関係ない」との批判が出ており、米国内のみならず国際的にも大きな論争となっている。
こうした状況のなかでトランプ政権は「法に則った自衛の行動だった」と主張を続けており、今後の議会調査や国際的な反応が注目される。
