トランプ政権、27年度の国防予算1.5兆ドル提示へ、史上最大
ホワイトハウスが公表した予算概要によると、要求している1.5兆ドルのうち約1.1兆ドルが通常の国防予算で、残り約4000億ドルは弾薬補充や防衛産業基盤の強化など補正的な枠組みとして計上されている。
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米政府は3日、2027会計年度に向けた予算教書を議会に提出し、国防費として約1兆5000億ドル(約239兆円)を計上するよう求めた。この1.5兆ドルという数字は単年度の防衛支出としては米国史上最大であり、前年度から約4450億ドル、比率では約42%の大幅増となる。提案された防衛予算の規模は国内外で安全保障リスクが高まる中での軍事力強化を反映したものだ。
ホワイトハウスが公表した予算概要によると、要求している1.5兆ドルのうち約1.1兆ドルが通常の国防予算で、残り約4000億ドルは弾薬補充や防衛産業基盤の強化など補正的な枠組みとして計上されている。この特別枠は議会での採決手続きを簡略化できる「和解」手法を用いて成立を目指す計画も含んでいる。
こうした大幅な防衛費増額の背景には現在進行中の中東での軍事行動、特にイランとの戦闘が続いていることがある。米国はイランを中心とする地域での緊張状態に対応するため、弾薬や装備の補充が急務となっている。また、中国やロシアといった大国との戦略的競争が激しくなっているとの見方から、既存の軍備の近代化や新技術の開発にも重点が置かれている。
ホワイトハウスは今回の防衛費案が「現代の脅威環境に対応し、米軍の即応性を回復する」ために必要だと主張している。例えば、兵士への給与引き上げや艦船建造、先進ミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」などの新規防衛プロジェクトへの投資も予算内に含まれている。
しかし、この巨額な防衛予算要求は予算全体のバランスを巡る国内政治の対立を激化させている。ホワイトハウスは防衛費の増加分を相殺するため、非防衛の連邦予算を約730億ドル(約10%)削減する方針を示した。削減対象となるのは住宅支援、社会福祉、保健医療、教育、環境保護関連などのプログラムで、これらはホワイトハウス側が「無駄な支出」や「非効率」と位置付ける分野だとしている。
具体的には再生可能エネルギー支援や環境保護庁(EPA)の予算、低所得者向け支援、科学研究関連予算などが削減対象になる可能性が報じられている。これに対し支持者は、財政運営と安全保障上の優先順位を明確にするための「厳しいが必要な調整」と評価している。一方、反対派は「国民生活を犠牲にして軍事を優先している」と強く反発している。
防衛費の大幅増額をめぐる議論は、財政赤字や連邦債務の問題とも絡んでいる。連邦政府の財政赤字は数兆ドル規模に達し、国防費の急増がこれをさらに膨らませるとの懸念もある。今回の1.5兆ドル案はあくまでホワイトハウスの「希望的」な提案であり、最終的な支出水準は議会の歳出決議と予算審議を経て決まる見込みだ。
与野党間の反応も対照的だ。共和党内では安全保障の強化を評価する声がある一方、民主党側は国内プログラムの大幅削減に強い懸念を示し、予算案全体に反対する立場を明確にしている。上下両院での審議過程では各種の修正案や削減提案が提出される可能性が高く、最終的な成立には困難が伴うとの見方が強い。
今回の防衛予算要求は米国が直面する国内外の安全保障環境の変化と、それに対する政治的対応の一端を示すものとなっている。国防と国内政策の優先順位のバランスをどう取るかは、今後の米国政治の重要な焦点の一つである。
