長期休暇を取る人が増えている...知っておくべきこと
長期休暇は誰もが利用できるものではなく、経済的な余裕や職種、企業文化などの制約もあるが、働き方の柔軟性やワークライフバランスの見直しが進む中で、こうしたキャリアの一時停止に注目が集まっている。
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数週間を超える長期の休暇を取る人が増えている。この種の長期休暇は「ミニサバティカル」「大人のギャップイヤー」「マイクロ・リタイアメント」などと呼ばれ、ストレスや日常生活から離れて心身をリセットすることを目的としている。休暇の形態はさまざまで、転職の合間に旅に出る、自営業者が雇用主の承認を得て休暇を取る、デジタルノマドとして各地を巡る、資金を貯めて数カ月に及ぶ冒険旅行に出る、といった多様なスタイルが見られる。共通点は心身や精神のリフレッシュのためのまとまった時間を設けることだ。
この流れは学術界だけのものではなく、一般の専門職や企業勤務者にも広がっている。ワシントン大学ビジネススクールによると、EUでは労働者が法的に最低20日の有給休暇を取得できるなど、休暇に対する考え方が米国と異なるものの、米国でも有給・無給を問わず数週間から数カ月の休暇を認める企業が増えているという。こうした休暇制度は有能な人材を引き留める手段としても活用されつつある。
長期休暇は大きく三つのタイプに分類されている。ひとつは「ワーキングホリデー」のように趣味や情熱のプロジェクトに取り組む休暇、次に刺激的な冒険と休養を組み合わせた「フリーダイブ」、そして燃え尽き症候群から回復した後に人生を変えるような探訪を行う「クエスト型」である。これらを実践した人の多くは休暇期間を自己資金で賄っており、雇用主による支援がなくても実施されているケースが多い。
長期休暇の普及を促す「サバティカル・プロジェクト」などの取り組みもある。このプロジェクトは休暇を「神聖な人間の儀式」と位置づけ、より多くの人にアクセス可能とすることを目指してコーチやメンターのネットワークを構築している。従来、サバティカルは学術界で一般的な制度だったが、より多くの職種に広がることを目指しているという。
具体例として、39歳の元企業弁護士ロシダ・ドウ(Roshida Dowe)さんは2018年に解雇された後、すぐに新しい職を探すのではなく1年間の旅行に出た経験を持つ。その後、オンライン上でキャリア・ブレイクのコーチとして活動し、女性向けに休暇や海外移住に関するバーチャル会議「ExodUSサミット」を共同で立ち上げた。この会議では資金面や安全性、医療などの実務的な課題から、休息の価値や世代を超えたトラウマからの解放といった哲学的なテーマまで議論されている。
一方で、長期休暇には費用や家族・友人の理解、職場での評価への不安など、実行をためらわせる要因もある。元薬局技術者のステファニー・ペリー(Stephanie Perry)さんは、宿泊費を節約するために「ハウスシッティング」を活用したり、スポンサーを募るなど工夫して旅を続ける方法を示す。財務プランナーのテイラー・アンダーソン(Taylor Anderson)さんは、休暇の資金計画は退職資金の計画と同様であり、貯蓄と支出のバランスを取ることが重要だと語る。
実際に長期休暇を取った人からは、価値観の変化や人生観の刷新、仕事と生活のバランスの見直しなど、肯定的な変化を報告する声も多い。サンフランシスコのアーティスト夫妻は、休暇をきっかけに自然との関わりを重視するようになり、最終的にギャラリーを閉じ地方での生活に移行した。別の例では、IT企業の従業員が転職ごとにまとまった休暇を交渉し、心身の再生を目的に生活の一部として休暇を取り入れていたという。
長期休暇は誰もが利用できるものではなく、経済的な余裕や職種、企業文化などの制約もあるが、働き方の柔軟性やワークライフバランスの見直しが進む中で、こうしたキャリアの一時停止に注目が集まっている。休暇を通じて自己を見つめ直すことは、単なるリフレッシュにとどまらず、人生設計の重要な一部になりつつある。
