心房細動とは、心不全など重篤な合併症を引き起こすリスクも
心房細動は心房と下部の心室との間で電気信号のリズムが乱れることによって発生する。
.jpg)
心臓の不整脈の一種である心房細動(Atrial Fibrillation=A-fib)は心臓の上部にある心房が不規則かつ非常に速く震えることで正常な動きを失い、血液の循環に支障をきたす状態を指す。専門家はこの状態を「心房が震える」と表現し、血栓や脳卒中、心不全など重篤な合併症を引き起こすリスクがあるとして警鐘を鳴らしている。心房細動は特に高齢者に多く見られ、米国では1000万人以上が患っている可能性があると指摘されている。
心房細動は心房と下部の心室との間で電気信号のリズムが乱れることによって発生する。多くの場合、患者は必ずしも自覚症状を感じないが、動悸、息切れ、疲労感、めまいなどの症状を訴えることがあり、心拍数が通常の60〜100回/分を大幅に上回る場合もある。こうした不規則な心拍は血液の流れを悪化させ、心臓内で血液がよどみやすくなり、血栓形成のリスクを高める。これらの血栓が血流に乗って脳に達すると脳卒中を引き起こす可能性がある。
心房細動の原因は複数あり、高血圧、糖尿病、ストレス、睡眠時無呼吸、喫煙、過度の飲酒などの生活習慣や基礎疾患が影響しているとされる。加齢に伴う心臓の電気機能の変化も大きな要因の一つで、約70%の症例が65歳以上の高齢者でみられるという。また、ウイルス感染が電気的信号に影響を与え、心房細動を誘発することもあり、新型コロナウイルス感染後に発症するケースも報告されている。
診断は心電図などによる心拍リズムの測定が基本だが、近年はスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスが不整脈の早期発見に寄与している。専門家によると、心房細動の診断が増えている背景にはこうした技術進歩もあるという。
心房細動には根本的な治療法はないものの、症状の管理や合併症予防に向けた多様な治療方法が存在する。初期治療としてはカルディオバージョン(電気的除細動)が用いられ、心臓に電気ショックを与えて正常なリズムに戻すことが試みられる。この方法は一時的な効果にとどまる場合もあるが、多くの患者で有効だ。さらに、ペースメーカーやWatchmanと呼ばれる閉鎖デバイスの埋め込みや、心房内の異常な電気信号を遮断するカテーテルアブレーションといった治療も選択肢となる。薬物療法では不整脈を制御したり血液を薄くして血栓形成を防ぐ抗凝固薬が処方されるが、出血などの副作用リスクがあるため慎重な管理が必要だ。
専門家は心房細動の進行や合併症リスクの軽減には生活習慣の改善が重要だと指摘する。適度な運動、十分な睡眠、バランスの良い食事、禁煙、節度ある飲酒などが推奨され、特に早期に症状が現れた場合は放置せずに医療機関での検査を受けることが強調されている。
心房細動は一見軽い不整脈のように思われがちだが、放置すると重大な健康被害を招く可能性があるため、日常生活での健康管理と医療の早期介入が欠かせない。
