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10人に1人が食事や運転、暖房、買い物の仕方を変えたらどうなる? 気候変動

米国の食事、交通、住居の暖房、衣服購入という日常的行動について、現在の習慣を10人に1人の割合で変えた場合にどれだけ二酸化炭素(CO₂)排出量が減るかが試算で明らかになった。
米ユタ州ソルトレイクシティのショッピングモール(AP通信)

地球温暖化は規模が大きすぎて個々人の行動が意味を持たないと思われがちだが、日々の選択が積み重なれば温室効果ガスの排出削減に大きな影響を与え得るという分析が示されている。米国の食事、交通、住居の暖房、衣服購入という日常的行動について、現在の習慣を10人に1人の割合で変えた場合にどれだけ二酸化炭素(CO₂)排出量が減るかが試算で明らかになった。

まず食事の面では、牛肉はメタン排出や飼料・飼育に伴う大量の温室効果ガス排出があり、鶏肉と比べて環境負荷が大きい。アメリカ心臓協会の推奨する一食分(約85グラム)の牛肉を週1回鶏肉に替えると、1人当たり年間約238キログラムのCO₂排出を減らせる計算になる。AP通信が行った調査では、週に1回は牛肉を食べると答えた米国人は約74%。もしこの集団のうち10人に1人、約2500万人がこの牛肉の1食を週1回鶏肉に変えたとすると、年間で約600万トンものCO₂排出を回避できるという。これは約130万台分のガソリン車の年間排出量に相当する。

交通では、環境保護庁(EPA)によると、輸送部門は国内の直接的な温室効果ガス排出の大きな割合を占め、個人の自動車がその多くを占めている。平均的な米国人ドライバーが年間約1万1500マイル(約1万8500キロ)を走行する場合、ガソリン車は1マイル当たり約400グラムのCO₂を排出する。一方で電気自動車(EV)は発電時の排出まで含めても約110グラムにとどまる。ガソリン車からEVに変えることで、1人当たり年間約3.3トン分のCO₂削減が見込まれる。すべての免許保持者の10人に1人、約2377万人がEVに切り替えた場合、年間約7900万トン、米国全体の温室効果ガス排出量の約1.25%に相当する削減につながる。

住居の暖房については、米国では約6000万世帯が都市ガスを使っている。これを燃焼ではなく熱を移動させて暖める電気式ヒートポンプに替えると、1世帯当たり年間約830キログラムのCO₂排出を削減できる。10世帯に1世帯がこの切り替えを行えば、年間約500万トンの排出削減となり、100万台の自動車を道路から取り除くのと同等の効果が得られるという。

生活の中で最も意識されにくい衣服も環境負荷がある。リーバイス社の調査によると、ジーンズ1本の生産には製造、梱包、輸送、小売を含めて20キログラム以上のCO₂が排出される。米国人口の10分の1に当たる約3420万人が今年新品ではなく古着のジーンズを購入すれば、約70万トンのCO₂排出削減になり、約15万台分のガソリン車の排出に相当するという試算が出ている。

これらの行動だけで気候変動が解決するわけではないが、複数の小さな選択が集まれば排出量は大幅に減少する可能性があるとしている。個々人の生活の選択が積み重なれば、社会全体の環境負荷を下げる具体的な手段となり得るという分析だ。

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