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トランプ関税違法判決、消費者物価への影響続く見通し

最高裁の判断はトランプ関税を全廃するものではなく、一定の関税は残る。
米ニューヨーク市の食料品店(Getty Images)

米国で最高裁判所が一部のトランプ関税措置を違法と判断した後も、関税は依然として多数の輸入品に課され、消費者物価への影響が続くとの見方が専門家から出ている。

トランプ政権が打ち出した大規模な関税の多くは先週、最高裁が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置は大統領権限の逸脱だとして約70%を無効とする判決を下し、その法的根拠が失われた。無効とされた関税は2025年末までに1400億ドル以上を徴収したとされる。

最高裁の判断はトランプ関税を全廃するものではなく、一定の関税は残る。政権は判決を受けて別の法的根拠である通商法122条を使い、24日に一律10%のグローバル関税を発動した。これは対外取引における収支の不均衡を是正する暫定措置として150日間適用される。政権はこの10%税率を15%に引き上げる意向を示しているが、正式な指示は出ていない。通商法122条の関税を150日以上続けるには連邦議会の承認が必要で、民主党上院指導部は延長に反対する姿勢を示している。

残存する関税は、消費者の小売価格に影響を与える可能性があると専門家は指摘する。関税は輸入業者が米国への輸送時に支払う税であり、その費用が最終的に消費者に転嫁されるためだ。ミシガン州立大のサプライチェーン専門家ジェイソン・ミラー(Jason Miller)教授は「関税による価格上昇圧力はなくならない」と述べている。

また、テキサスA&M大学のレイモンド・ロバートソン(Raymond Robertson)教授は、平均的な米国家計が今後150日間で最大800ドルの追加負担を強いられる可能性があるとする試算を引用し、「消費者が関税影響の顕著な価格上昇が見られる商品を避けても、関税が適用される商品を完全に回避するのは困難だ」と述べた。

トランプ政権は122条に基づく関税に加え、安全保障を理由とする通商法232条に基づく鉄鋼・アルミニウムなどの高率関税(最大50%)や、自動車・部品への25%関税なども維持する方針だ。これらは特定の輸入品に対して価格上昇要因となる可能性がある。

一方で、最高裁の判断で失効したIEEPAベースの関税が多くの国で撤廃されたことにより、電子機器や衣料品など一部の商品では価格圧力が緩和されるとの期待もある。これまで中国、ベトナム、インド、ブラジルといった国々からの輸入品には高い関税がかけられていたが、今後は効果が減じる見通しだ。

全体として、米国の実効関税率は最高裁判断前の約16%から122条関税を含めると約13.7%に低下したと推計されるが、政策の不確実性は依然として消費者や企業に価格上昇圧力を与えるとの分析が続いている。

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