カナダの銃規制、知っておくべきこと 2026年2月
カナダの銃規制の根拠は「銃規制法(Firearms Act)」や刑法などで、これに基づき各種の規制が実施されている。
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カナダでは一般市民による銃器の所有・使用は一定の条件下で合法とされているが、その制度は非常に厳格なものとなっている。連邦政府が主導する規制枠組みは銃の分類、許可制、登録義務、安全教育、保管義務などを通じて公共の安全確保を図るものであり、同国の銃規制は米国より厳しいと広く認識されている。
カナダの銃規制の根拠は「銃規制法(Firearms Act)」や刑法などで、これに基づき各種の規制が実施されている。所有・取得・譲渡などを行うには「所持・取得許可証」が必要で、これは王立カナダ騎馬警察(RCMP)の銃器プログラムが発行する。これを取得するには18歳以上であること、徹底した安全講習と背景調査を受けることなどが条件となり、通常5年ごとの更新が義務づけられている。12歳から17歳の未成年は限定的な許可証を取得して狩猟や競技射撃のために非制限銃を借用できる制度がある。
銃器は「非制限」「制限」「禁止」の3カテゴリに分類される。非制限銃はライフルやショットガンで、許可証があれば所有が可能だが、輸送・保管に際しては非装填・安全なケース保管など厳しい条件が課される。制限銃は主に短銃身の火器や一部のセミオートピストルで、これにはRPAL(Restricted PAL)という別の許可が必要で、射撃場への輸送許可が付与される場合がある。一方、禁止銃は原則として民間所有が認められず、既存所有者についても新規取得は制限されている。
カナダ政府は近年、銃規制の強化に踏み切っている。2020年にはノバスコシア州での銃乱射事件を受けて約1500種類の「アサルトスタイル」銃が禁止され、その後2024年末までに禁止対象が2500を超えた。また、2022年10月からは拳銃の販売・購入・譲渡を全国的に凍結する政策が実施されている。これら禁止銃については政府による買い取り・引取制度が設けられ、対象所有者は一定期限までに自発的な引き渡しか恒久的な機能停止を求められている。
銃規制強化には背景があり、カナダ国内でも過去に複数の銃乱射事件が発生している。特に2020年のノバスコシア事件は22人の死者を出し、政府が「カナダ人には思いや祈り以上のものが必要だ」という声明とともに強化策を進める契機となった。この事件以降、カナダは攻撃的な設計を持つ半自動ライフル等の規制に重点を置いてきた。
ライセンス制度は公共安全に重点を置くものであり、申請者は背景調査を受け、暴力歴やメンタルヘルに重大な懸念がある場合には許可が却下される。また、銃器の安全な保管・輸送・表示が法律で定められる。さらにカナダでは「レッドフラッグ法」と呼ばれる緊急差し止め命令制度が導入され、危険性が高いと判断される人物から法的に銃器を取り上げることが可能となっている。
ただし、カナダ国内では銃所有に対する社会的評価が一枚岩ではなく、特に体育・狩猟文化が根強い地方では強化策に反発がある。また、規制によって合法的所有者が銃を手放す必要に迫られる事例も議論の対象となっている。
現在のカナダの銃法制は、所有そのものを禁止するものではなく、公共安全と個人の権利の間でバランスを取る形で設計されているが、銃乱射事件などを契機にした規制強化の流れは続いており、今後の法改正や運用のあり方が国内外で注目されている。
