米国の草の根団体WNDBが「禁書」反対キャンペーンを展開
WNDBは多様な背景を持つ作家や作品を広く紹介し、教育現場での読書の自由を守ることを目的とする組織で、禁止対象となった本を学校へ寄贈するとともに、著者を“アンバンド・ブック・アンバサダー”として派遣する仕組みを提供する。
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米国の草の根団体「WNDB(We Need Diverse Books/私たちには多様な本が必要だ)」は学校や図書館で進行している書籍の禁止措置に対抗する新たな取り組みとして「アンバンド・ブック・ネットワーク」を立ち上げた。WNDBは多様な背景を持つ作家や作品を広く紹介し、教育現場での読書の自由を守ることを目的とする組織で、禁止対象となった本を学校へ寄贈するとともに、著者を“アンバンド・ブック・アンバサダー”として派遣する仕組みを提供する。まずは資源に乏しい20校を対象に、書籍の提供や支援を行う計画だ。
WNDBの最高経営責任者であるドニエル・クレイトン氏は21日の声明で、「米国では現在、識字率の低下が続いているだけでなく、検閲が拡大しつつあり、生徒の“読む権利”が侵害されている」と指摘。「アンバンド・ブック・ネットワークの立ち上げを通じ、多様性豊かな文学が若い読者や地域社会に変革をもたらす力を示していく」と述べた。
アンバサダーには自身の著作が禁止または制限された経験のある著者が含まれる。著者たちが現場での講演やディスカッションを通じて生徒や教員と直接交流する役割を果たすという。
こうした動きは、近年増加している書籍禁止の動向を背景としている。米国の人権団体ペン・アメリカや図書館協会の報告によると、過去4年間で書籍の禁止件数が急増し、幅広いジャンルの作品がしばしば対象になっているという。批評家らは、これらの書籍が人種、性別、LGBTQ+(性的少数者)のテーマを扱うことから規制対象になっているケースが多いと指摘してきた。
出版社や表現の自由を支持する団体も、反対運動や啓発活動を展開している。ペンギン・ランダムハウスによる“バンド・ワゴン・ツアー”と呼ばれる巡回イベントや、ハーパーコリンズ、ハチェット・ブック・グループ、アメリカ図書館協会、オーサーズ・ギルドなどが参加する禁書反対キャンペーンといった取り組みが進行中だ。また、ユタ州やアイオワ州などでは出版社が法的措置を支援するケースも見られる。
WNDB自体は2014年に「多様性のある書籍を求める」という趣旨のツイッターハッシュタグから始まった運動に発端を持つ。出版業界の多くが白人中心であるという長年の課題に応えて誕生したこの組織は、その後、業界全体の多様性促進に向けた活動も展開してきた。2023年時点で出版業界の約72%が白人で占められていることが示され、2015年の約79%からわずかな変化がみられるものの依然として偏りが残っているとされる。こうした現状を踏まえ、WNDBは多様な声を持つ作品の普及と読書の自由の確保に向け、アンバンド・ブック・ネットワークを通じた支援を強化する方針だ。
