米ワシントン・ポスト紙、従業員3分の1解雇へ、苦戦続く
この削減は編集部門に限らず、スポーツ部門や国際部門、その他部署にも及ぶ。
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米有力紙ワシントン・ポストは4日、全社的な大規模人員削減を実施し、全部署を合わせた従業員の約3分の1を解雇すると発表した。この削減は編集部門に限らず、スポーツ部門や国際部門、その他部署にも及ぶ。ワシントン・ポストの編集長が従業員向けのZoom会議で発表した。
人員削減の実施にあたり、編集部員には「職務が維持される/削減される」のいずれかを知らせる件名の電子メールが送付される仕組みとなっているが、具体的な削減人数や現在の総従業員数について同紙は明らかにしていない。編集長はこの措置が社内に衝撃を与えることを認めつつも、同紙が再び成長し繁栄する基盤をつくるために必要な再編だと強調した。
今回の人員削減では、スポーツ部門が廃止されるほか、書籍部門も閉鎖される。また、ポストが配信するポッドキャスト番組「Post Reports」の放送が中止される予定で、ワシントン地域ニュース部門や編集部の再構築も進められる見込みだ。これに伴い、海外取材拠点のジャーナリスト数も大幅に縮小される。
人員削減は数週間前から予想されていた。ポストはイタリア・ミラノで開催される2026年冬季オリンピックの取材について、自社のスポーツ部門スタッフを派遣しないと伝えたため、一部関係者の間で波紋を広げていたが、公表後に限定的なスタッフの派遣に方針を変更していた。
ワシントン・ポストは1970年代のウォーターゲート事件の取材などで世界的に知られる一方、近年は経営面での苦戦が続いている。同紙の競合紙であるニューヨーク・タイムズはゲームサイトや商品推薦サイト「Wirecutter」などの関連事業への投資によりここ数年で人員を倍増させ、好調な成長を見せているのに対し、ポストは読者離れや収益減少に直面していた。
内部では、オーナーであるアマゾン・ドットコム創業者のベゾス(Jeff Bezos)氏への不満が高まっている。2024年の大統領選に際して民主党候補ハリス(Kamala Harris)への支持表明を撤回したことや、リベラル色の強い意見欄の方針転換などが読者離れを加速させたとの指摘がある。こうした背景から、多くのポスト社員がベゾス氏に直接訴えかける動きも見られたが、今回の大規模削減はそれに反して進められる形となった。
ポスト内部の組合組織はこれらの削減策を強く批判し、雇用維持とジャーナリズムの質を守るための公的支援を求める声明を出した。組合は大規模解雇は同紙の信頼性と報道の深さに深刻な影響を及ぼす可能性があるとして、経営陣に再考を促している。
これまで多数のメディア企業がデジタル化と収益モデルの変化に対応する中で再編を余儀なくされてきたが、ワシントン・ポストの今回の決断は米国の主要新聞社にとって象徴的な出来事といえる。今後、同紙がどのような編集方針と経営戦略で読者と市場の信頼を取り戻すかが注目される。
