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米国の住宅価格高騰、有権者とトランプ政権に大きな乖離

トランプ氏は1月29日の閣議で「住宅価格を下げたくない。家を所有する人たちのために価格を上げたい」と述べ、既存の住宅所有者の資産価値を守ることを強調した。
売り家の看板(Getty Images)

米国では住宅価格の高騰が有権者の大きな懸念となっているにもかかわらず、トランプ(Donald Trump)大統領は住宅価格を下げる政策を望まず、むしろ現状維持ないし上昇を志向していることが明らかになっている。トランプ政権のこの立場は、住宅購入の手頃さを改善するために必要だとする専門家や不動産業界の意見と相反している。

トランプ氏は1月29日の閣議で「住宅価格を下げたくない。家を所有する人たちのために価格を上げたい」と述べ、既存の住宅所有者の資産価値を守ることを強調した。トランプ氏は、住宅が「あまりにも簡単で安く買える」ようになると価格が下がり、既存の所有者が得た利益が失われると主張している。

この政策姿勢は特に高齢の住宅所有者層に歓迎される可能性がある。AP通信のデータによると、2024大統領選でトランプ氏に投票した支持者の約81%が住宅所有者で、低金利の住宅ローンを利用しているか、すでに自宅を所有している者が多い。こうした層は価格の維持や上昇が自らの経済的利益につながると考えている。

一方で、住宅価格の高騰は若い世代や初めて住宅を購入しようとする人々にとって深刻な障壁になっている。多くの若年層は供給不足による価格上昇に苦しみ、一部では地域からの離脱を余儀なくされているとの声もある。

不動産業者も同様の問題を指摘している。シカゴやデンバー周辺で活動する不動産エージェントは、郊外の物件が複数の買い手から競り合いになる状況を説明し、住宅不足が価格を押し上げていると語っている。このような供給不足を解消しない限り、若年層が手頃な価格で住宅を購入することは困難だと指摘されている。

こうした中、トランプ政権下では一戸建て住宅の建築許可件数が前年同期比で減少し、住宅供給の拡大が進んでいないとの統計もある。この傾向は価格高騰を助長し、アフォーダビリティ(購入可能性)の改善を難しくしているとみられている。

トランプ氏は住宅供給の拡大について、過去には規制緩和や税制優遇などの方策を打ち出していたが、最近は住宅価格維持を重視する姿勢に軸足を置いている。また、連邦準備制度理事会(FRB)に対して金利引き下げを促すなど、住宅ローン金利を低くすることで購入負担を軽減するアプローチを採っている。

しかし、経済アナリストや政策専門家の多くは、住宅価格を抑えるには新規建設の拡大が不可欠だと指摘している。住宅価格は収入よりも速いペースで上昇しているため、若年層や低所得者層の住宅取得は依然として困難な状況にある。今後の政策判断が2026年の中間選挙に向けた有権者の支持にどのように影響を与えるかが注目されている。

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