ベネズエラ大統領、移民解放を支持するよう国連に要請、トランプ強制送還

▽トランプ政権は今月中旬、1798年に制定され、第2次世界大戦中に日系人の強制収容で使われたことで知られる敵性外国人法に基づき、ベネズエラの麻薬組織トレンデアラグアの構成員約250人をエルサルバドルの刑務所に送った。
2024年8月17日/ベネズエラ、首都カラカス、声援に応えるマドゥロ大統領(AP通信)

ベネズエラのマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長とターク(Volker Turk)高等弁務官と会談し、米国がエルサルバドルに送還したベネズエラ移民の解放を求めるよう要請した。ベネズエラ大統領府が28日、明らかにした。

トランプ政権は今月中旬、1798年に制定され、第2次世界大戦中に日系人の強制収容で使われたことで知られる敵性外国人法に基づき、ベネズエラの麻薬組織トレンデアラグアの構成員約250人をエルサルバドルの刑務所に送った。

ワシントンDC連邦裁判所は3月15日、敵性外国人法に基づく送還を14日間差し止めたが、政府は送還便が既に領空外に出ていたため、エルサルバドルに向かわせたと主張している。約250人のうち137人が敵性外国人法に基づき送還された。

トランプ政権は28日、敵性外国人法の使用を認めるよう連邦最高裁判所に求めた。

エルサルバドルに送還された移民の家族の多くがトレンデアラグアとの関係を否定。ベネズエラ政府は彼らを釈放するために全力を尽くすと約束している。

ベネズエラ大統領府は声明で、「マドゥロ大統領は26日にグテレス氏と、28日にはターク氏とそれぞれ会談し、両者に対し、移民たちの人権回復と解放を支援するよう要請した」と明らかにした。

それによると、両者はベネズエラ移民の権利を回復するために、米国に働きかけることを約束したという。

国連と国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)はこの声明に関するコメントを出していない。

トランプ(Donald Trump)米大統領はワシントンDC連邦裁判所が差し止め命令を出した後、判事を弾劾するよう要求した。

これに対し、最高裁判所のロバーツ(John Roberts)首席判事はトランプ氏を非難し、「弾劾ではなく上訴が司法判断との意見の相違に対する適切な対応である」とする異例の声明を出した。

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