◎昨年10月の軍事クーデター以来、全国各地で民主化デモが行われている。
米政府は21日、スーダンの中央予備警察に制裁を科すと発表した。
スーダンの治安当局は、昨年10月の軍事クーデター以来全国各地で続いている民主化デモを弾圧してきた。
米財務省は声明の中で、「スーダンの中央予備警察は同国の軍事化された部隊であり、首都ハルツームで平和的なデモ隊に対して過剰な力を行使した」と説明し、警察がデモ参加者を射殺した事件を引用した。
財務省によると、米国内にあるスーダン警察の資産はすべて凍結され、米国への渡航なども禁止されるという。
スーダンは軍が文民主導の暫定政府を追放して以来、混乱に陥っている。
軍は10月末にハムドゥーク首相(当時)と政府高官を拘束し、軍民合同政府「ソブリン評議会」を解散させ、紆余曲折の末、新たな協定に基づく軍民合同政府を発足させた。
しかし、協定の内容は一切明らかにされておらず、民主主義を求める団体や野党勢力は軍の権力が強化された可能性に懸念を表明し、各地で抗議デモを続けている。
さらに、一部の勢力は2019年の無血クーデターで追放された独裁者のオマル・アル=バシールの復権を狙っており、混乱に拍車をかけている。
治安当局はデモ隊に実弾や催涙ガス弾を発射したり、デモ隊の情報共有ツールであるインターネットや携帯電話の電波を遮断したりするなど、各地で厳しい取り締まりを続けている。
2019年の無血クーデターを主導したスーダン医師会によると、これまでに市民少なくとも83人がデモ中に殺害され、2,600人以上が重軽傷を負った。
テロリズム・金融情報担当のネルソン米財務次官は声明の中で、「我々はスーダンの治安当局がスーダン市民を殺害し、嫌がらせをし、威嚇していることを非難する。これらの行為は、スーダンの危機を悪化させている」と述べ、軍事政権を非難した。
スーダンの経済は軍事政権の失策とロシア・ウクライナ戦争の影響で急速に悪化しており、ここ数日抗議デモはさらに活発化している。国連の仲介もほぼ行き詰まった。
スーダンの民主化勢力は文民政府への速やかな移行を要求している。しかし、将軍たちは選挙で選ばれた指導者にのみ権力を譲ると主張し、2023年まで選挙を行わない方針である。