◎アメリカ最大のパイプライン、コロニアル・パイプライン(全長約8,900km)は、5月7日にロシアのハッカー集団のサイバー攻撃を受け、機能不全に陥った。
5月11日、アメリカ南東部の都市のガソリンスタンドでは燃料不足が悪化し、パニックに陥った一部の市民がスタンドに長蛇の列を作った。
ノースカロライナ州、バージニア州、フロリダ州の州政府は11日、ガソリン価格の高騰を受け、非常事態を宣言した。
アメリカ自動車協会によると、11日午後時点のガソリンの平均価格は1ガロン(約3.78リットル)あたり2.98ドル(約320円)まで上昇し、2014年11月以来の高値を記録したという。
現地メディアは、一部の運転手がガソリンを買いだめしていると報じた。
エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は11日の声明で、ガソリンを買い占める必要はないと述べた。「昨年発生したトイレットペーパーの買い占めと同じ問題が発生しています。ガソリンがなくなるというデマを信用しないでください。アメリカはガソリンをたくさん保有しています。それは決してなくなりません。システムは今週末までに運用を再開します。無用な買い占めは控えてください」
アメリカ最大のパイプライン、コロニアル・パイプライン(全長約8,900km)は、5月7日にロシアのハッカー集団のサイバー攻撃を受け、機能不全に陥った。ABCニュースによると、東海岸で使用される燃料の約50%を供給する同パイプラインのネットワークは少なくとも今週末まで運用を再開できる見込みはないという。
連邦捜査局(FBI)はダークサイド(DarkSide)と呼ばれる犯罪組織の犯行と断定したうえで、調査を継続していると述べた。
専門家によると、ダークサイドはロシアまたは東ヨーロッパを拠点に活動している可能性が高く、旧ソビエトの言語を使用するコンピューターをサイバー攻撃の標的から除外するという。
米ロシア大使館はウラジーミル・プーチン大統領がサイバー攻撃に関与しているという憶測を却下し、ジョー・バイデン大統領もロシア政府が関与しているという証拠は現時点では見つかっていないと述べた。
ABCニュースによると、現在オフラインになっているコロニアル・パイプラインは国土安全保障省との契約で、ジョージア州、サウスカロラナイ州、ノースカロライナ州、テネシー州、バージニア州に輸送用燃料の70%以上を供給する責任を負っているという。
マサチューセッツ州に本拠を置くガスバディのアナリスト、パトリック・デ・ハーン氏は、「ノースカロライナ州のスタンドの約9%がガソリン切れを起こしている」と述べた。「ジョージア州のスタンドは約6%、アトランタのスタンドは20%以上でガス切れを起こしています...」
バイデン政権は少なくとも1週間続くと予想されているガソリン不足を緩和する手続きを強化した。
環境保護庁(EPA)は声明で、燃料輸送などに適用される規則の緩和はペンシルベニア州、バージニア州、メリーランド州、コロンビア特別区(ワシントンD.C.)に適用されると述べた。期間は5月18日まで。
一方、ジョージア州政府は5月15日までガソリン税を停止し、単価を大きく引き下げると発表した。
運輸省は9日、石油製品の地上輸送における時間制限を緩和した。対象は18州で、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料などの輸送規則が一時的に緩和され、地上輸送が行いやすくなった。
自然災害やその他の災害の経済的影響を研究しているチャック・ワトソン氏は、「一部の地域ではパイプラインの停止による短期的な影響が出ているが、長期的な影響が出る可能性は小さい」と述べた。「ガソリン単価は確かに上昇しています。しかし、2週間後、市民は単価が上昇したことを忘れているでしょう」
米エネルギー情報局(AAA)は11日、コロナウイルスのパンデミックは「2021年夏の石油市場に重大な影響を与える」と述べたが、一部の専門家は、「現時点では夏の旅行シーズンの開始に合わせて燃料価格は上昇する」と予想している。
AAAは、コロニアル・パイプラインの閉鎖が今回の燃料価格の上昇を招く要員のひとつになってことは間違いないと述べた。