◎この政策は12月21日に終了する予定だったが、亡命希望者が急増するという反対派の訴えを受け、延長するか否かが争われていた。
米最高裁は27日、コロナウイルスの世界的な大流行を受けトランプ政権が施行した移民抑制政策「タイトル42」の延長を支持した。
タイトル42は米国内で拘束された不法入国者を入国前の国(主にメキシコ)に戻し、法に基づいた亡命申請の機会を与えるとしている。
この政策は12月21日に終了する予定だったが、亡命希望者が急増するという反対派の訴えを受け、延長するか否かが争われていた。
バイデン政権は27日、判決に従うと表明する一方、移民政策の改革を訴えた。
ホワイトハウスは声明で、「政府はタイトル42が解除されたときに備えて準備を進めている」と述べた。
ルイジアナ州の共和党員、カシディ(Bill Cassidy)上院議員はツイッターに声明を投稿。「タイトル42の廃止は国境をさらなる危機にさらす」と述べ、最高裁の決定を歓迎した。
またカシディ氏は「移民の流入を阻止する恒久的な対策が必要だ」と呼びかけた。
メキシコ北部で野営するベネズエラ人男性はAP通信の取材に対し、「我々は何カ月もここで待っている」と語った。
グアテマラ、エルサルバドル、キューバ、ニカラグア、ハイチなど、中南米移民の入国手続きは数カ月待ちが当たり前の状態になっている。
最高裁は政策の存続を求める共和党主導の州の訴えを認めた。
ロバーツ(John Roberts)連邦最高裁判所長官はタイトル42の期限が切れる2日前、審理に時間がかかるとして、政策を一時的に延長するよう命じた。
そして最高裁は27日、賛成5ー反対4でタイトル42を延長できると裁定した。最高裁はタイトル42の失効日には言及していないため、さらなる混乱が予想される。
最高裁は来年、州政府がタイトル42に関する裁判を起こせるかどうかを議論する予定である。
弁論は2023年2月または3月に行われる見込み。判決は6月末と予想されている。
最高裁の決定はタイトル42が亡命希望者の権利を保障する国際法に違反しているという人権団体や活動家の希望を打ち砕いた。
タイトル42の支持者は「法に基づいて移住や亡命申請を出せば済む話」と反論している。
バイデン政権の訟務長官は先週、法廷に提出した文書で、「政府はタイトル42の終了が、おそらく混乱と違法な国境通過の一時的な増加につながることを認識している」と述べていた。
メキシコ国境や米南部では地方自治体や人道支援団体が過剰な負担を強いられており、亡命希望者の追加流入への備えもできていないと警告している。
テキサス州エルパソでは先週、当局が非常事態を宣言し、市のコンペンションセンターに仮設シェルターを設置した。
エルパソの当局者はAPの取材に対し、「人々をメキシコに送るだけでもかなり人員・時間・資源を必要とするため、これ以上移民が増えた場合、対応しきれなくなる」と警告した。