◎米政府は昨年10月、マドゥロ大統領が野党連合と選挙協定を結んだ見返りとして、経済制裁を一部緩和した。
米政府が17日、ベネズエラに対する厳しい経済制裁を再開した。
AP通信は財務省高官の話しとして、「この制裁再開が世界の原油市場に影響を与えることを避けるため、45日間の猶予期間を設定している」と報じた。
米政府は昨年10月、マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が野党連合と選挙協定を結んだ見返りとして、経済制裁を一部緩和した。
しかし、ベネズエラ高裁はその後、マドゥロ氏のライバルであり、同国初の女性大統領を目指すマチャド(María Corina Machado)元議員に対する選挙出馬禁止令を支持。米政府はこれに激怒し、制裁を一部再開した。
大統領選は7月28日に予定されている。その候補者登録は3月末に締め切られた。
選管はマドゥロ氏の独裁を脅かす野党候補の出馬を認めない姿勢を堅持している。
マドゥロ政権は7月の大統領選に国際選挙監視団を招くと表明している。一方、野党は候補を擁立できないこと自体に反発し、米政府に対応を呼びかけていた。
マチャド氏の立候補は認められておらず、その側近を含む数人の野党政治家がこの半年の間に投獄されている。
米財務省の制裁再開により、米国内の企業はベネズエラの国営石油会社と取引できなくなった。
最新の世論調査によると、野党候補が立候補を許可されたうえで、有権者の半数が選挙に参加できれば、マドゥロ氏は大敗を喫する可能性が高いという。
マドゥロ政権はマチャド氏に15年間の出馬禁止令を科している。
ベネズエラの経済は米国の厳しい経済制裁で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
この経済危機はアメリカ大陸を巻き込む移民大移動に発展。数百万人のベネズエラ人が国外に流出し、その多くが米国を目指している。