トランプ政権、メキシコに汚職政治家の身柄引き渡し迫る
トランプ大統領は不法移民と合成麻薬フェンタニルによる「脅威」を理由に、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく国家非常事態を宣言。メキシコ国境に軍を展開し、軍用機で不法移民を送還するなど、様々な移民・麻薬対策を導入している。
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トランプ米政権がメキシコ政府に対し、麻薬カルテルとつながりのある政治家を刑事告発するよう圧力をかけている。
ロイター通信は今週、複数の情報筋の話しとして、米政府がカルテルとつながりのある政治家のリストをメキシコ政府に渡し、米国でその政治家が刑事責任を問われた場合、身柄を引き渡すよう要請したと報じた。
ルビオ(Maro Rubio)米国務長官とそのチームはメキシコ当局との協議の中で、少なくとも3回この問題を提起してとされる。
ルビオ氏は外相らに対し、シェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領にその旨を伝えるよう要請。麻薬カルテルとつながりのある公職者を捜査し、汚職を根絶するよう迫ったという。
シェインバウム氏は12日の定例会見でこの報道を「フェイクニュース」と呼び、報道のタイミングについても疑問を呈した。
この報道は米国のノーム(Kristi Noem)国土安全保障長官が10日にシェインバウム氏を非難した後に報じられた。
ロイターは情報筋の話しを引用し、「シェインバウム氏の与党・国家再生運動(MORENA)の複数の政治家も捜査対象に含まれ、米政府はメキシコがこれを拒否した場合、さらなる関税を課すと警告した」と伝えている。
メキシコ外務省はこの報道を否定。「米政府はメキシコの公職者の調査を要求していない」と強調した。
米政府はこの報道に関するコメントを出していない。
トランプ(Donald Trump)大統領は不法移民と合成麻薬フェンタニルによる「脅威」を理由に、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく国家非常事態を宣言。メキシコ国境に軍を展開し、軍用機で不法移民を送還するなど、様々な移民・麻薬対策を導入している。
フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍、ヘロインの50倍といわれている。
米国では過去10年間で45万人以上が合成オピオイドの過剰摂取で死亡、数百万人が中毒になっている。その最大の要因がフェンタニルである。
米国に流入するフェンタニルの99.99%がメキシコ産である。メキシコの麻薬カルテルは中国やインドから合成オピオイドの前駆体化学物質を輸入。国内で加工し、米国などに密輸してきた。
トランプ政権は2月、メキシコのシナロア・カルテルやハリスコ新世代など、中南米の8つの麻薬組織を「外国テロ組織」に指定した。