◎共和党は中国の「暴言」に直接対処する「台湾防衛強化法案」の提出を検討している。
米共和党は2日、民主党のペロシ(Nancy Pelosi)下院議長の台湾訪問を支持する珍しい声明を発表し、米議員の訪台を日常茶飯事と呼んだ。
共和党のリーダー、マコネル(Mitch McConnell)上院少数党首を含む26人はペロシ氏の訪台への支持を表明し、中国の挑発を「馬鹿げている」と非難した。
マコーネル氏は上院の演説で、「彼女には行く権利がある」と語った。
またマコーネル氏は中国の「暴言」に直接対処する「台湾防衛強化法案」の提出を検討していると明らかにし、「両党は法案を支持するだろう」と述べた。AP通信によると、この法案は3日の上院外交委員会で審議される予定。
一方、中国はペロシ氏の訪台を「壊滅的」と呼び、過去25年で最も危険な「火遊び」と非難した。
米国で台湾を訪問した最も地位の高い政府高官は1997年のギングリッチ(Newt Gingrich)元下院議長(共和党)と今回のペロシ氏。約25年ぶりの下院議長訪台となった。
中国外務省は声明で、「火遊びをする者は火で滅びるだろう」と警告した。
国家安全保障会議(NSC)のカービー(John Kirby)報道官は2日、「この訪台が危機や紛争に拍車をかけることはない」と断言した。
カービー氏は記者団に対し、「今回の訪問は米国の長年の対中政策に沿ったものであり、ホワイトハウスの政策に何ら変わりはない」と説明した。
一方、中国の国営メディアはペロシ氏の軍用機が台湾に到着した時、人民解放軍の戦闘機が台湾海峡を横断したと報じた。
台湾政府はこの報道を否定していたが、その後、20機以上の戦闘機が防空識別圏に入ったと認めた。
米国は1979年に中国と外交関係を結ぶ一方、台湾とも「強固な非公式関係」を構築してきた。
中国は台湾を分離独立勢力に占領された省のひとつとみなしており、占領者から取り戻すと誓っている。
ペロシ氏は先週、今回の訪台について、「台湾の活力ある民主主義を支援するという米国の揺るぎないコミットメントを約束するものであり、米国の現在の政策を反映している」と述べていた。
またペロシ氏は、「台湾の国民2300万人と米国の連帯は、世界が独裁と民主主義の選択に直面している今日、これまで以上に重要である」と強調した。
バイデン(Joe Biden)大統領はペロシ氏の訪台について、「当局はいい考えではないと思っている」と述べていた。
ペロシ氏はワシントン・ポスト紙が掲載した記事の中で、「台湾の強固な民主主義が脅かされている」と警告していた。「台湾は中国共産党の侵略に直面しています。我々の訪問は米国が台湾と共に立つという明確な声明とみなされるべきです...」
ペロシ氏の訪台は数日前から世界の主要な話題になっていたが、直前まで秘密にされていた。
ペロシ氏は先週の声明でシンガポール、マレーシア、韓国、日本を訪問し、首脳らと会談すると明らかにしたものの、台湾には言及していなかった。
バイデン氏はペロシ氏の訪台に反対しているように見えたが、カービー報道官は2日に放送されたCNNニュースのインタビューで、「ホワイトハウスの政策に変更は一切ない」と断言した。
またカービー氏は「米国は脅迫に屈しない」とし、中国が軍事的挑発を行う可能性に言及した。「米議員の訪問は珍しいものではなく、我々の政策に変更はありません。中国が何かしらの行動を起こせば、その責任はすべて中国にあります」
米議会下院を率いるペロシ氏は大統領と副大統領に問題が発生した場合、大統領代行に就任する米政府のナンバー3であり、数十年にわたって反中国・反共産党を貫いてきた。
ペロシ氏は天安門事件から2年後の1991年、天安門広場を訪問し、共産党に虐殺された人々を追放する横断幕を掲げ、共産党の怒りを買った。
台湾のメディアによると、ペロシ氏は3日に蔡英文(Tsai Ing-wen)総統や立法院の議員らと会談する予定だという。